沢村よ、次回こそ勝負だぞ 高次元求む
【関本四十四の「ひとにらみ」9】
プロ野球の後半戦がスタートした。21日、巨人は甲子園で阪神と対戦し、先発・岩田から守護神・呉昇桓への継投の前に沈黙。0対3で敗れた。
確かに打線の責任は重い。重いけれど、ここは先発した沢村拓一投手について言わせてもらう。
後半戦スタートの先発に抜てきされた意味をよく考え、この負けを次回に生かさなければダメだ。
本来なら21日の先発は杉内でもよかった。彼は12日の阪神戦(東京D)で完封勝利を収めている。
でも原監督は右肩違和感から復帰して3試合目の登板となる沢村に決めた。高いレベルを求めたんだ。実際、達成できるだけの素晴らしい素材を持っているのは間違いない。入団した時から言われてきたことだ。
だが、負け数が勝ち数を先行している。勝率が悪い。今季も1勝2敗だ。なぜなのか。これは巨人内部でも問題になっている。
21日も序盤はコントロールが悪かった。二回、2安打と四球で無死満塁とピンチを招き、梅野に2点タイムリーされた。
あれだけのパワーボールを持っているのに、三遊間をゴロで抜かれた。真ん中低め、142キロのボール球だった。球威抜群のパワーボールはどこへ行ってしまったのか。
もっとガッカリしたのが八回の暴投だ。一死三塁で大和への初球、低めのフォークボールだった。
あのシーン、15、6勝するような投手だったら、まずやらない。ベンチの中はズシーンという感じだった。
特に甲子園は広いから、ネットまで転がっていく時間が長い。だから余計に印象が悪い。チーム全体がヘナヘナとなり、ダメージも大きくなる。
確かに相手の岩田は初回からコントロール、球威ともに文句なしで、投げ合った相手との絡みもあったかもしれない。でも、相手が0点ならば、沢村も0点で抑え、競っていく状況を作っていく必要がある。
事実、四回から七回まではパーフェクトピッチングだった。川口投手総合コーチは「あの投球を最初からやってくれればいいんだ」と嘆いていたが、同コーチの気持ち、よく理解できる。
無理ではない。それだけの力を備えているのは間違いないんだ。
どうすれば打開できるか。以前にも一度話したが、緩急を覚えて欲しい。あのヒジの高さなら変化球、特にタテ系のカーブがいけると思う。あのパワーボールをどうしたらもっと生かせるか。課題はこの点に尽きる。
もうすぐ8月だ。ファームの選手は8月になって、首脳陣から怒られたり、注意されなくなったら、お終いが近いということだ。
新聞などを見ると、原監督は沢村に対して厳しいコメントを残している。それもこれも、沢村に高い次元を求め、今後の巨人投手陣の軸にと期待するからこそだ。
次回の登板では最低でも7回を1失点くらいに抑えるピッチングを見せてもらいたい。自分でコツコツと実績を積み重ねていくしかない。
あれこれ言われているうちが“華”だ。次回の登板も注目して見ている。
(デイリースポーツ評論家)