やりくり采配の原G 求む若手ヒーロー

 【関本四十四の「ひとにらみ」11】

 開幕前は我々評論家が集まると、「今年はどれだけ独走するんだろう」と話していた原巨人だが、どうにもおかしい。8月も下旬になろうとしているのにモタモタしている。

 実際のところ、原監督はその日その日を本人の直感でやりくり采配している。

 今季は103試合を消化(18日現在)して56勝46敗1分だ。2位・阪神とは1・5ゲーム差だ。昨年はこの時期63勝35敗4分で貯金が「28」もあったし、2位・阪神とは8・5ゲーム差だった。

 今シーズンは昨季と比べても戦力的に勝っている。なのにこの成績だし、なによりも大型連勝が少ない。いかに投打に渡り、好不調の波が激しいかということだ。連勝は交流戦期間中の7連勝が最高だ。

 具体的な名前は避けるけど、高い年俸をもらっている選手が働いていない証拠だ。彼らが80~90パーセントの力を発揮していれば独走しているはずだ。

 18日時点でチーム打率、チーム得点がいずれもリーグワースト。それでいて首位なのだから、冒頭で話したように、いかに原監督が苦労をしているかということだ。

 例えば打線。今年は103試合で「79通り」の打順を組んでいる。4番を打ったのは阿部、村田、セペダ、アンダーソン、長野、高橋由と6人もいる。最近は試合前になると、我々や担当記者たちが集まり、「さて、きょうはどんな打順かな」と話題になるくらいだ。

 一部にはこんな巨人の戦いぶりに批判の声もあるようだが、原監督にすれば、「こうするしかない」といったところなのだ。

 投手陣に関しても、いまは我慢の時だ。エース・菅野智之投手が右手中指の腱の炎症で2軍調整中だ。彼が1軍に帰ってくるまで、なんとかしのがねばならない。

 18日には背信投球を続け2軍落ちしていた沢村拓一投手が1軍に合流した。21日のヤクルト戦先発が有力だ。首脳陣からは「ダメならすぐ2軍」と言われているようで、沢村にとって雪辱のチャンスでもある。

 外国人選手に関しても、誰を使うかの見極めが重要になる。

 いずれにせよ、巨人のもたつきで4位の中日まで優勝の芽が出てきた。セのペナントレースは本当にどうなるか分からない展開になってきた。

 巨人、“日替わりヒーロー”が欲しいところだ。交流戦で好成績を残せたのも小山、亀井の存在があればこそだった。それもできるなら、ベテランではなく、イキのいい若手の出現が待たれる。

 巨人にとって、26日からの阪神3連戦が大きなヤマ場となるのは間違いない。それまでしっかりと首位を守ることだ。

 優勝すれば「クライマックス・シリーズ」で“1勝”のアドバンテージがもらえる。これは実にでかい。今年こそ、昨年の借りを返し日本一になるために、なんとしてでも優勝をもぎ取りたい。

 残り41試合。原監督の手腕・舵取りが注目されるゆえんだ。

(デイリースポーツ評論家)

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