CS敗退の巨人 露呈した野手の層の薄さ
巨人がCSファーストSで敗退した。まず最初に菅野に触れる。周りがどうこう言わずとも、彼はこの先20勝しようが何しようが、野球人生が終わるまで、ずっと自責の念にかられるのではないか。今回登板できなかった事実は重い。それだけの責任がある立場だった。
勝負の流れで言えば、第3戦の同点の九回無死一塁で代走・鈴木がけん制死したミスが痛かった。左腕・田中は右足を上げて一塁ベース方向へ前傾しながらけん制球を投げたが、あの足のスペシャリストも平常心でいられなかったか。
それはともかく、この3試合はシーズン中の課題がそのまま出た形となった。特に問題なのは打線だ。CSで1番に起用された坂本に村田、阿部、長野のクリーンアップは3試合で4人合計46打数17安打だった。しかし、それ以外の打者は54打数でわずか2安打に終わった。これでは勝負にならない。
4人に続く野手がなかなか出てこない上に、第3戦のような総力戦になればなるほど、野手の層の薄さを露呈した。特に終盤には相手へ重圧をかけるような代打が欲しいところだが、ここ数年、出てくるだけで相手を震え上がらせた「代打・高橋由伸」のような存在がいなかった。シーズンでの代打の打率は・171と12球団最低だった。優勝するチームには代打の切り札であったり、1人で何役もこなす伏兵がいるものだ。
巨人は今シーズン32人の野手が1軍ベンチに入った。これは中日と並んでセ・リーグ最多だった。大田や中井から新人の重信や山本まで、1軍に定着できないのは結果が出ないからなのか、首脳陣の我慢が足りないからなのかは分からないが、チャンスをものにできなかった選手が多かったのは確かだ。
阿部も今季は出場91試合にとどまったように来年もフルでとはいかないだろう。巨人は3軍制を導入し、その結果が出るのは来年か再来年かと言われるが、このままでは外国人やFA補強とともに代打の補強も考えなければならないのではないか。
理想は岡本あたりがポジションを奪い、今季のレギュラーを代打に追いやるような形だ。それには守るところも含めて、首脳陣がなんとかして野手をつくっていく作業が必要になる。
シーズン中の課題がそのまま出たと先に指摘したが、勝負の神様はよく見ているものだ。このCSでは、1年間のデータがありながらロペス、筒香、梶谷と警戒していた選手に打たれた小林誠を含めたバッテリー、波のあるギャレットの打撃、沢村の崩壊と課題が残った。その解消とともに、野手の層を厚くする作業が急務だ。