新天地で成長を続ける若きドミニカン左腕
【高知・ファン・グルジョン投手】
グルジョンのインタビュー中、突然筆者の携帯電話から警報音が鳴った。通訳を務めていた木屋信明氏(高知球団)の携帯電話もけたたましく鳴り響き、インタビューは中断となった。だが、すぐに“誤報”だと分かり、ホッと胸をなで下ろす。こんなアクシデントも日本で初めて体験するものだ。
マウンドで結果を残すことはもちろん、初めて暮らす日本という国の“環境”や“文化”に自分を適応させていかなければならない。高知に来てはや4カ月が過ぎた。
「サガワに住んでみて驚いたのはすごく静かな街だということ。僕が住んでいたサンチアゴは非常に騒がしいところで。サンチアゴみたいに騒いだりはできないのですが、ゲレロが増えてバティスタと3人、寮の部屋で仲良くやっています。料理を作ると気分転換にもなるし」
テキサス・レンジャーズ傘下のマイナーチームとの契約が終了した昨年1月、母国・ドミニカ共和国に戻り日本行きのチャンスをつかんだ。アメリカよりもプレッシャーが少なく、良い指導が受けられる日本はまさにうってつけの場所だった。
吉田豊彦コーチからの指導を受け、徐々に成長の跡も見られる。日本野球だから学べることがたくさんある。
「一番変わったのは考え方やないですか。前は強いボールを投げるだけだった。『ここは日本やし、コントロールは重視しなきゃいかんよ!』とは言いました。コントロールとフィールディングが良くなったら、ピッチャーとして(評価が)上がる」(吉田コーチ)
現在、井川博文に次ぐ5勝を挙げ、貴重な先発ローテの一角を務める。
「あと3勝はしたい。3勝することで防御率も良くして。NPBに見てもらえるか、来年またここでプレーできればいいなと思います」
若きドミニカン・アイランドリーガーも上を目指し、いま奮闘中である。