元阪神・桜井広大、野球人生に悔いない
【香川・桜井広大外野手】
『元阪神の桜井が現役引退を表明』。そのニュースが流れたのは11月18日のことだ。翌19日、高松で行われた香川の『シーズン御礼報告会』が“プロ野球選手”桜井広大として最後の仕事となった。なかには一緒に写真に納まりながら、涙をこらえきれないでいる女性ファンもいた。
香川でプレーして2年目。昨季はベストナイン受賞のみに終わり、打撃タイトルを奪えなかった。8月終了の時点で本塁打王争いの行方は桜井、大谷龍次(徳島)バティスタ(高知)の3人が7本で並び、打点王争いは桜井45、2位・大谷44と1点差での大接戦が続いていた。
「なんか一致したっていうかね。脳も体も。それじゃダメなんですけど、マラソンで言ったら『ラスト!』っていう感じ。ずっと一所懸命走ってて『あとラスト1キロ!よっしゃ行こ!』っていう感じで行けたので」。9月を3本塁打、14打点の“ラストスパート”で走り抜け、2冠をもぎ取った。
引退を決意したのは、シーズン終了1週間前のことだ。香川の今季最後のゲームとなったリーグチャンピオンシップ第3戦(10月5日、オロナミンC)九回二死一塁の場面で打席に入り、遊ゴロに倒れた。リーグ優勝が消えたその瞬間、すべてが終わった。
「阪神で終わって諦めているより、この2年間やって、ホント良かったなと思えるんで。それが一番ですよね」
悔いはどうしたって残る。やらない悔いよりも、やって残った悔いの方がいい。
「『もっとできた』とかありますけど、自分なりにやり切ったし、これはこれで。新しい道へ進もうと決めましたから。スタートは切れそうな気がします。いや、切りますね」
背番号「0」を背負い、挑戦を続けた2年間が終わった。