徳島・河本ロバート 場所も名前も一新
【徳島・河本ロバート投手】
徳島の勝利に河本ロバートの存在が欠かせなくなりつつある。中継ぎながら2勝を挙げ、2セーブ。防御率はいまだ「0」を誇る(6日現在)。
「もう球速的に150キロも出ましたし、あとは(ボールの)質の部分もあるんですけど。ストライク、ボールの出し入れをもう少しできれば、まだ上に行けるチャンスは少なからずゼロじゃないかなと思うところもあるので」
大学卒業後、マイナー・リーグからMLBを目指した。アメリカで“日本人”として苦労を重ねるなか、4シーズン目の開幕を前に絶好調だった11年春のキャンプで悲劇が襲う。突如、制球力を失った。ボールがあらぬ方向へと飛んで行く。リリース時、ヒジから先の感覚がない。
「ホントに苦労しました。何回泣いたか分かんないです。自分自身に負けてることが悔しかったんですよ。自分が思ったボールでボコボコに打たれてるなら分かるんですけど、そういうわけじゃない。要は自分との勝負じゃないですか」
あれから3年が過ぎ、ようやく「正常な状態」と言えるところまで来た。もうマイナスのイメージはない。やっとここまで戻って来られた。そんな喜びがある。
『河本』は母方の名字だ。日本国籍を取得し、昨年3月に高校時代の同級生と入籍した。妻も河本姓を名乗る。
「場所を変えてやるんだから、名前も一新して」と、登録名をBCリーグ時代の『ロバート・ブース』から『河本ロバート』に変えた。母が「『河本』を使って欲しい」と言ったことも理由の1つである。
「今年がカギになるっていうか。『この1年がダメだったらもうダメだろ!』というくらいには思っているので。勝負の年。それに尽きますね」
再び思いっ切り投げられる。乗り越えた者だけが持つ、凄味を携えて。