香川・松本 皆の応援を受けいざ西武へ
【香川・松本直晃投手】
埼玉西武との入団交渉を前にした11月7日、松本直晃は昨年までの勤め先である鳥取県米子市の医療法人養和会を訪れている。
かつての同僚や、担当部署であった通所リハビリセンターに通うお年寄りたちが歓待してくれた。地元マスコミに向けて、記者会見まで行われている。
「大変なことになってるなと思って。『こんなことになるかな!』と思いました。いやもう、すごかったですよね、ホントに」
大学卒業後、老人介護などの仕事をしながら軟式野球部の立ち上げに尽力した。2年間、忙しい仕事と並行して野球を続けるなか、青戸忍監督から「もっと上のレベルでやってみんか?」と言われたことが、アイランドリーグ挑戦のきっかけである。遊撃手を務めながら投手を始めたのもここだ。香川で投手として硬式球を握り、1年目で西武入団にまでこぎ着けた。
「プロに入ってしまえば、そういう経緯なんて関係ないですから。それよりも、いまの実力を常に求められる。『ピッチャーやって、まだ日が浅いので』とか言ってられないですし。その辺はシビアに結果を求めて行こうと思いますね」
米子時代、市内の少年野球チーム「住吉少年野球団」に野球教室を開いていた。今回の米子訪問の際にも顔を出し、とても喜んでくれている。あのころ、子供たちとよく「プロになったらカッコええなあ!」と話していた夢が、現実になった。
「その当時は『大学で野球やってた兄ちゃん』て感じじゃないですか。ちょっと野球がうまい。そうじゃなくて、プロ野球選手になった人っていう目線で見てもらえれば『カッコええなあ』と思ってたんですよ。でも、存在が近すぎたみたいで。逆に子供らの方が実感沸いてなかったですね」
プロ野球選手になった「松本の兄ちゃん」を実感するのは、もう少し先だろう。ライオンズの投手として、1軍のマウンドに登っている姿を見たときに。
「そういうふうに思ってくれたらありがたいですね」
病院で出会った人たち、少年野球の子供たち、四国のファンの応援を背に受けて、次の舞台へ。