高知・駒田監督 選手たちをスターに
【高知・駒田徳広監督】
新体制となった高知は江本孟紀(元東映ほか)を総監督に、駒田徳広(元巨人ほか)を監督に迎え、今季に臨む。通算2千本安打を達成した名球会プレーヤーの監督就任は初である。
すでに練習試合を4試合消化した。急ピッチでの実戦ぶりに、新体制の“勢い”を感じさせる。新監督は「去年までの実績は考慮しない」とはっきり口にした。
「そうじゃないと僕らしくない。どういう気持ちでここに流れ着いて来たのか。僕だってそういうつもりで流れ着いて来たんだから。お互いにどういうつもりでここに来たんや!ってことをね。理解できる選手じゃないと、僕は使いたくない」
独特の言い回しを用いて「バットとボールを使って夢中になって遊んでくれる人が、うまくなる人だと思う」と語る。芸術家は好きで芸術にのめり込むのだ。作品が売れなかったら素人で、売れたからプロではない。そこに懸ける必死さは、どちらも変わらないはずだ。
「好きじゃないと絶対うまくならないので、しっかり遊んでほしい。プロというのは趣味が高じてプロになるんですよ」
育成か勝利かと尋ねられれば、迷わず「育成がすべて」と答える。戦略を駆使して勝つことを求めるのであれば高知には来ていない。決勝点となる1打を打てる選手を、NPBに行ける選手を育てるために来た。
「要は選手たちがスターになってくれないと。『スターを育てる!』と思って練習させてあげて。そいつらが上手くなって勝って行かない限りは、価値ないんですよ、そんなの」
奈良の無名校から努力で巨人のレギュラーをつかみ獲った。「今年も無理だ」と言われた低迷期の横浜を日本一にまで押し上げた。そうやって達成した2千本安打の誇りがある。
「最初、ダメなところから全部始まってるから。だから、これをやることについてもどうってことない。江本さんが、オレに一歩踏み込ませてくれるよう声を掛けてくれた。それは感謝してますよ」
監督として選手を育てる仕事は、自らが築き上げてきた野球観を試す、大きなチャレンジでもある。