高知サンホ・ラシィナ逆転Vへ望みかけるブルキナファソ初のプロ野球選手

 【高知 サンホ・ラシィナ内野手】

 15歳で高知球団に練習参加した2013年6月から、はや3年がたつ。サンホ・ラシィナは昨年8月、西アフリカ・ブルキナファソから初のプロ野球選手となった。

 2年目の今季、出場機会も確実に増えている。対愛媛後期4回戦(8月29日、宇和島市営丸山)では、7番・一塁手として先発出場し、三回に右中間への2点適時三塁打を放った。

 「まだまだたくさん課題があるという感じですね。バッティングだと、ランナーがいるとき、いないときで勝負が変わるじゃないですか。ピッチャーが変化球ばかり投げてきて、真っすぐが少なかったり。ランナーを進めたいけど、そこに集中しすぎるとピッチャーに負けてしまったり。難しいですね」

 やはり、試合に出ることで得られる経験は何事にも代え難い。駒田徳広監督(元巨人ほか)が自分を使ってくれることに、多大な感謝の気持ちがある。

 「監督からは毎回、打席に立つときに『ちっちゃくなるな!』と言われます。『思いっきり行け!結果はなんだっていいから!』って」

 この取材に通訳は付いていない。インタビューはすべて日本語で行われている。外国語に堪能な球団スタッフの木屋信明氏が言う。

 「いや、大したもんですよ。この間も車に乗ってクーラーかけたら『めっちゃ涼しい~!』とかって(笑)。ラシィナは日本人ですよ」

 それでも来日当初は苦労が少なくなかった。言葉は身ぶり手ぶりで伝えた。食事も口に合わなかったが、練習がキツくてそれどころではなかった。最も悩んだのは日本特有の上下関係である。ブルキナファソにはない「先輩」「後輩」という考え方に疲れることもあった。だが、それにも慣れた。

 いま、日本でプロ野球選手として戦っている。

 「選手契約を取ったあと、ただお金をもらうだけではいけないから。『試合に出たい』じゃなくて『出なくちゃいけない』から。なんというか……。もっと頑張らないといけないですね」

 チームの勝利に貢献できる1打を打ちたい。逆転優勝に望みを懸けている。

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