元高知・浅野 タイプの違う指導者に恵まれ…故郷宮城で目指す高校野球指導者
【元高知・浅野祥男捕手】=文・高田博史
「お前がピッチャー殺してんだよ」
浅野祥男が捕手としてプレーした3年間で、最も記憶に残っている言葉だ。2年目、萩原淳コーチ(元オリックスほか)に言われた。
投手の力を100とする。捕手が不安を与えてしまうことで、それを80にセーブさせてはいけない。
「堂々としていろ」「死んでもワンバンを止めろ」
リードや振る舞い方について、何度しっ責されたことか。監督、コーチからの要求に対し、自分のスキルが低すぎる。とにかく叱られ続けた。だが、首脳陣は見捨てないでいてくれた。
首脳陣の意図が理解できていると感じ始めたのは、2年目の終盤である。弘田澄男前監督(元ロッテほか)は退任の際「あえて高いレベルの要求をしていた」と打ち明けた。プロに入るためではなく、1軍で活躍するためにどうするのか、という指導理念を持っていた。
「『やっぱ、そうだったんだ!』と思って。ホント、それはありがたい話で」
3年目を迎え、愛媛のコーチとなった萩原から「お前、やっと言ってたこと分かってきたな!」と言われたことがうれしかった。
現役を引退して、春から故郷・宮城で高校教師を目指す。将来的にはこれまでの経験を生かし、指導者になりたいと考えている。
高知で得たものが3つある。野球の知識。高知の人たちの優しさ。そして、指導者に恵まれたことだ。
「すごく時間をかけてしっかり見てくれる。こういうふうになりたいな、こういうふうに指導するべきなんだなという、お手本になる方々に出会った。それは感じましたね、すごく」
タイプはそれぞれ違う。だが、学んできたことをうまく取捨選択して、自分のカラーにしていきたい。
「弘田さんや駒田さん(徳広監督)偉大な人たちに教わってきたので。僕がしっかりしないと、皆さんの顔に泥を塗ることになる。そこはしっかりやっていきたいなっていうのはありますよね」
アイランドリーグで教わったことを糧に。いつか恩師に喜んでもらえるような、いい報告ができれば。そう考えている。