愛媛・河原監督 ドラフト上位指名選手育成へ練習で「個の力」鍛える
【愛媛・河原純一監督】文=高田博史
ここまではっきりと目標を絞り込んでシーズンを迎える球団は、過去なかったのではないか。
なんとしても選手をNPBへ送り込みたい。そのために育成してほしい--。
愛媛の新監督として、河原純一監督(元巨人ほか)に声が掛かったのはそのためである。これまで勝つためにパイレーツを率いてきた過去の監督たちとは、状況が大きく異なっている。
「去年、一昨年といい成績が出て。3連覇とかありますけど、逆に言ったらこのタイミングでそういうふうにしていかないと、いつまで経ってもできない」
ほか3球団はすでに合同自主トレを開始しているが、愛媛はあす21日からの始動となる。3月9日からは恒例の今治強化合宿も予定されている。
だが「○○までに○○をする」といった“目標”は、特に設けないつもりだ。
「合宿の期間だとか、3月いっぱいだとか、シーズン前のどうのこうのって、僕はあんまり考えてないです。そこがキャンプだとか合宿だとか言うんだったら、もう夏ぐらいまでキャンプだと思ってます。そうじゃないと……」
目指すのは育成枠での指名ではなく、ドラフト上位での指名だ。そのためにやるべきことがある。目の前の試合に勝利することが最大の目的ではない。試合とは、練習で培った成果を発揮するための場所だ。
極論で言えば、勝つためではなく個の能力をアップするために練習させる。
「練習で身に付けなきゃならないものが、まだたくさんあるので。試合、試合となってしまったら、なかなか身に付かないし。もちろん実戦でアピールすることも大切。だけど、やっぱり練習でできないことはできないのでね。試合では」
真芯で捉えられたライナーが野手の正面を突き、アウトを取ったことより、打ち取ったボテボテの内野安打で1点を奪われたことのほうを高く評価する。そこでクヨクヨしてほしくない。
「結果オーライで喜ぶようになってしまったら、独立リーグにいる子はダメだと僕は思う」
強い信念をもって、初めてのシーズンに臨む。