井川という絶対的エースを押し立てて、それでも阪神は負けた。一塁・桧山の拙守。中堅・赤星の落球。吉見を打てず、いい打球も野手の正面を突く。横浜スタジアムで勝てないジンクス…。2003年のプロ野球が両リーグ一斉に開幕した。チグハグしたまま黒星を喫した星野阪神だけど、ま、これで目が覚めたでしょ。きょうこそスカッと“快幕”だ!
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阪 神 |
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横 浜 |
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× |
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負:井川1敗
S:− |
本塁打:− |
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横浜での開幕連敗ジンクス破れず、悲鳴を上げる星野監督 |
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立ち止まったのは3分。三塁側ベンチ裏、素振り用ミラーに映る闘将の横顔は、悔しさに満ちていた。「あのファーストゴロもスタートが遅れた。まあ、これ以上言ってもな…」。自ら会見に幕を引き、ゆっくりと歩き始めた。
エースが打たれ、守備が乱れ、打線は中盤まで沈黙。振り返れば次々と浮かび上がる。まさかの敗戦、よもやの開幕黒星スタート。据わった目つきで、その現実を直視した。終始、冷静な表情、言葉遣いを保ちながら、星野監督は薄暗い駐車場を通って帰りのバスへと向かった。
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ウッズにタイムリーを浴びるなど6回3失点で敗戦投手となった井川 |
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二回無死一塁、小川のボテボテの一ゴロに桧山がダッシュ。井川は投げた後に左へ重心が流れた分、ベースカバーへのスタートが遅れた。「自分がタッチに行くタイミングだった」という桧山が捕球した直後、井川と衝突。一死一、二塁から金城の先制二塁打を浴びた。
「あれをヒットにしてるようじゃあ記録員失格や」。金城の打球は左中間への飛球。赤星が快足を飛ばして追いつきながらも、グラブに当てて落とした。「僕のせいで流れが止まった。触った以上は捕らないと」と、赤星自身もミスと認めるプレーだった。
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どうした金本!4番浜中とともに横浜・吉見に封じられた
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歯車がかみ合わない。開幕カードを横浜スタジアムで迎えた過去12戦は全敗。「鬼門中の鬼門」に、星野阪神2年目の出はなはくじかれた。井川対吉見。4番の浜中を、FA砲・金本、桧山、アリアスがわきを固める打線…。開幕を前に膨らみ続けた期待は、厳しい現実に打ち砕かれた。
七回、代打・広沢と今岡の適時打で1点差まで追い上げた。「もうそういうのはええ。同点にして初めて粘ったと言える」。オープン戦とは違う。結果しかない。それがペナントレース。「トラ(広沢)とハチキ(八木)に開幕から頼っとってどないすんねん」。指揮官は苦笑していた。
昨年の開幕前、OBの藤村富美男氏、村山実氏の墓参りに出かけた。今年は行っていない。次に墓前に立つ日は決めている。それは18年ぶりの夢を達成したとき。1歩目はつまずいた。立ち上がり、土をはらって前進するしかない。星野仙一、2年目の戦いが始まった。(岩田卓士) |