見てたこっちもエキサイトや!阪神・伊良部秀輝投手(33)が8回6安打1失点で今季2勝目だ。五回二死まで“完全”のピッチングは、チームと自身に連勝をもたらした。「恐怖の七、八番」も爆発した首位固めゲーム。浪花の開幕戦には花も実もあり、ホンマ、虎党に生まれて良かった―。
|
|
ヤクルト |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
|
2 |
阪 神 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
× |
|
3 |
勝:伊良部2勝
S:ウィリアムス2S |
本塁打:− |
|
「野球」と「ベースボール」。この2つを高次元で融合させた伊良部の投球術に、大阪ドームを埋めた3万観衆が酔いしれた。
初回を簡単に3人で片付けると、五回二死までパーフェクト。3月12日のオープン戦ですでに対戦している。「研究済み?そうですね」。緩急を自在に操る合理的投球を前に、ヤクルト打線は手も足も出ない。
八回に内野ゴロの間に1点を許したが、失点はこれだけ。最終回は球数を考慮し、ウィリアムスにマウンドを譲った。
|
|
恐怖の8番・藤本はこの日も猛打賞で打率はナント・480!! |
|
「ロケーション(制球)だけですよ」と伊良部。この日のMAXは145キロ。スピードにはこだわらず、制球とキレで勝負するのが現在の伊良部のスタイルだ。最終イニングとなった八回にも143キロを計測。球威は最後まで衰えることがなかった。
安打を許してもまゆ一つ動かさない。黙々と、まるで精密機械のように110球を投げ込んだ。しかし、ひとたび野球を離れれば、何よりファンを大切にする男。この日の早朝、広島駅のホームでのサイン攻めにも、ひとり残らず応じた。
試合終了後、ナイン全員を握手で迎えた星野監督は、ベンチ内に伊良部の姿を見付けると、この日一番の笑顔で手を握り締めた。
|
|
こちらは7番で打率・448!7試合連続安打と好調の矢野 |
|
「前回(3月29日)と違って落ち着きがあったな。外野に飛ばんかった。手元でビュッときてたんじゃないか」
連勝右腕に闘将の評価はもちろん“満点”だ。佐藤投手コーチも「丁寧に投げてたね」と滑らかな口調。それでも「まだまだ(目標とするところには)到達してない」と、さらなる進化に期待を込める。
ヒーローインタビューではマウンド上での無機質な表情も一変し、一塁側スタンドに最高の笑顔を向けた。「(声援は)非常に励みになります…エキサイトしてます」。高々と右手を差し上げ、伊良部コールに応えた。
そして、ベンチ裏。マウンド上での表情に戻った。
「フライが多かった?どうなんでしょう」
「球のキレ?どうなんでしょう」
“機密事項”を決して明かさないのもまた、この男のスタイルだ。果てしなく続く投球と研究の繰り返し。3勝目を見据えた戦いが、すでに伊良部の中で始まっている。(松下雄一郎)
|