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大阪がエキサイトした

阪神3−2ヤクルト

4月4日・大阪ドーム
 
 見てたこっちもエキサイトや!阪神・伊良部秀輝投手(33)が8回6安打1失点で今季2勝目だ。五回二死まで“完全”のピッチングは、チームと自身に連勝をもたらした。「恐怖の七、八番」も爆発した首位固めゲーム。浪花の開幕戦には花も実もあり、ホンマ、虎党に生まれて良かった―。
ヤクルト
阪 神
×
勝:伊良部2勝 S:ウィリアムス2S
本塁打:−
伊良部は貫録のマウンドさばきで2戦負けなし

 「野球」と「ベースボール」。この2つを高次元で融合させた伊良部の投球術に、大阪ドームを埋めた3万観衆が酔いしれた。

 初回を簡単に3人で片付けると、五回二死までパーフェクト。3月12日のオープン戦ですでに対戦している。「研究済み?そうですね」。緩急を自在に操る合理的投球を前に、ヤクルト打線は手も足も出ない。

 八回に内野ゴロの間に1点を許したが、失点はこれだけ。最終回は球数を考慮し、ウィリアムスにマウンドを譲った。

恐怖の8番・藤本はこの日も猛打賞で打率はナント・480!!

 「ロケーション(制球)だけですよ」と伊良部。この日のMAXは145キロ。スピードにはこだわらず、制球とキレで勝負するのが現在の伊良部のスタイルだ。最終イニングとなった八回にも143キロを計測。球威は最後まで衰えることがなかった。

 安打を許してもまゆ一つ動かさない。黙々と、まるで精密機械のように110球を投げ込んだ。しかし、ひとたび野球を離れれば、何よりファンを大切にする男。この日の早朝、広島駅のホームでのサイン攻めにも、ひとり残らず応じた。

 試合終了後、ナイン全員を握手で迎えた星野監督は、ベンチ内に伊良部の姿を見付けると、この日一番の笑顔で手を握り締めた。

こちらは7番で打率・448!7試合連続安打と好調の矢野

 「前回(3月29日)と違って落ち着きがあったな。外野に飛ばんかった。手元でビュッときてたんじゃないか」

 連勝右腕に闘将の評価はもちろん“満点”だ。佐藤投手コーチも「丁寧に投げてたね」と滑らかな口調。それでも「まだまだ(目標とするところには)到達してない」と、さらなる進化に期待を込める。

 ヒーローインタビューではマウンド上での無機質な表情も一変し、一塁側スタンドに最高の笑顔を向けた。「(声援は)非常に励みになります…エキサイトしてます」。高々と右手を差し上げ、伊良部コールに応えた。

 そして、ベンチ裏。マウンド上での表情に戻った。

 「フライが多かった?どうなんでしょう」

 「球のキレ?どうなんでしょう」

 “機密事項”を決して明かさないのもまた、この男のスタイルだ。果てしなく続く投球と研究の繰り返し。3勝目を見据えた戦いが、すでに伊良部の中で始まっている。(松下雄一郎)


 激闘ダイジェスト
 2回裏  二死から矢野が左中間2塁打。藤本の中前打で生還し先制
 6回裏  金本が左翼2塁打、浜中が四球。二死後に矢野が中前2点適時打。差を3点に広げた
 8回表  稲葉が右越え3塁打。宮本の遊ゴロの間に1点
 9回表  先頭のラミレスに四球。古田の右中間2塁打で一死2、3塁。代打・佐藤真の3ゴロ間に1点を奪われるも、最後は土橋を見逃し三振

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