伊良部が7回を1失点。アリアスが通算100号を放ち、片岡もダメ押し弾。6点リードで最終回を迎えた阪神が、なぜか勝てなかった。延長12回、今季初の「伝統の一戦」は4時間41分の手に汗握る熱戦だ。でも―。悪夢の引き分け。どうせならスッキリしたかったね、星野監督。
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阪 神 |
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勝:−
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本塁打:金本1号、アリアス4号、片岡2号 |
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まさかの同点3ランホーマーを浴びマウンドにうずくまる藤川 |
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闘将がベンチを飛び出しマウンドへ向かった。九回に続いてこの試合、2度目。延長十二回、投球練習する谷中に声をかけた。
「気合が入ってなかった」
アリアスの犠飛で1点を勝ち越していた。あと1回を抑えれば逃げ切れる。激闘の最後を任された谷中は一死後、高橋由に痛恨の同点ソロを浴びた。勝てた。アリアスの来日通算100号などが飛び出し、八回までは投打がかみ合っていた。快勝ペースだった…。
ベンチが動いた。4点リードの九回二死一、二塁。マウンドには吉野がいた。打席には仁志。カウントは2―0と追い込んでいる。ここで星野監督は谷球審に交代を告げた。「ピッチャー・藤川」がコールされた。
カウント2―0からの継投。佐藤投手コーチは「監督のひらめきじゃないかな。右バッターだったし…。万全にいこうということだった」と振り返った。
闘将が問題視したのは、その前打者・阿部の打席にあった。「(カウント)2―0から意図が分かってない」。2―0と追い込みながらも、結局は四球を与えた。
「みんな新聞(星野語録)読んでないのかなあ」
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九回にアリアスが来日100号を放ち勝負が決まったかに見えたが… |
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無死からの四球、カウント2―0からの四球は「7割から9割はやられる。野球始まって以来、100年のデータ」だと話していたばかり。だからこそ「吉野は(四球より)打たれた方がよかった」と話した。
代わった藤川が代打・後藤に同点3ラン。延長戦にもつれ込んだ。指揮官は「ああいう場面で出るのはつらいで。よう頑張った」と責めようとはしなかった。
リリーフ陣の準備は「大丈夫だった」と佐藤投手コーチ。6点リードで守護神・ポートの登板。だれもが勝利を確信していた。「球児もあそこはないと思っていたかな」。心のすきはあったのかもしれない。
悪夢のドロー。4時間41分のまさかの死闘だった。「よう負けんかったと思っとる」。悔しさ、疲れを熱いハートに抑え込み、星野監督は淡々と話し続けた。(岩田卓士)
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