どやっ!胸のすく激勝。阪神・星野仙一監督(56)の「勝ちたいんや!」がナインのプレーに乗り移った。全チームと対戦し終え9勝4敗1分で単独首位。開幕前、巨人・原監督は阪神を「怖い」と言った。星野監督はなめられたと感じた。悪夢の引き分け後、連勝。どやっ、ホンマに怖いやろう!
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阪 神 |
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巨 人 |
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勝:吉野1勝
S:ウィリアムス3S |
本塁打:アリアス6号 |
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バスに乗り込み、いつもの座席にどっかり座った。左側最前列。背もたれに体を預け、足をゆったりと開いた。しばらくフロントガラスを見つめた。伝統の一戦の疲労感が、星野監督の全身に漂う。疲れた。一通りの対戦、15戦を終えて9勝5敗1分け。首位。心地悪くはない。
宿敵への意地だった。同点で迎えた八回二死三塁、闘将に迷いはなかった。「代打・矢野」。当初は長いシーズンを見据えて休養日にあてるつもりだった。だが「行けるところがあれば行かすつもりだった」と勝負時とみて、八木、広沢ではなく「試合慣れしている」矢野を打席へ送った。
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粘った5回7奪三振3失点、打ってはプロ初安打の下柳 |
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期待に応えた。気力のヒットだった。「越えてくれ、越えてくれ」と祈りながら見つめた打球は、遊撃の頭を越えて左前に落ちた。決勝の適時打となった。
ちょうど1年前のこの日、矢野は激痛に顔をゆがめた。甲子園での横浜戦。本塁上のクロスプレーで左肩鎖関節を脱きゅう。戦列を離れた。正捕手の長期離脱は、チーム力に大きく響いた。今年は野口がいる。「だれかが出られなくても、次に選手がいる。チームはレベルアップしている」。矢野は実感する。
初戦の悔しさ、いや踏ん張りがあっての2戦目、3戦目の結果。闘将はそう振り返った。11日の試合は6点差を追いつかれて、延長十二回の末に引き分け。「向こうに流れがいっていたのをドローにした」。その前向きに切り替えた気持ちを存分に爆発させた。
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3戦連発と大爆発のアリアス、本塁打と打点でトップに立った
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先制されては追いつき、勝ち越されても食い下がる。九回にはアリアスの一発などでダメ押しの3点を奪って、今季最多の17安打。重量G打線を相手に打撃戦で白星をつかみ取った。
「取られたら取り返すという部分が今年はある。だから4点ぐらいで(投手陣が)頑張ってくれればいけると思う」。今はそう信じてさい配が振るえる。
シーズン最初の区切り、5カード15試合を終えた。「貯金があればええと思ってた。いい形で終われたよ」。一巡目最終カードで宿敵に2勝1分け。2003年、巨人にはまだ1度も負けていない。(岩田卓士)
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