♪勝ったぁ、勝ったぁ、また勝ったぁ、よ〜わい巨人にまた勝ったぁ―。思わず歌っちゃいました。巨人に開幕負けなし4連勝。井川の入魂149球に心を震わせ、片岡のタイムリー2本に手を叩き、矢野の決勝2ランに声をカラして…。締めは仙さんの笑顔です。いやはや、シビれた…。 |
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巨 人 |
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1 |
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2 |
阪 神 |
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1 |
3 |
0 |
2 |
0 |
0 |
× |
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6 |
勝:井川3勝
S:− |
本塁打:矢野2号 |
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はね返す。ビハインドを、ミスを、重圧を―。これが2年目の星野阪神が得た教訓。今季12度目の逆転劇で、巨人から19年ぶりの開幕4連勝をもぎ取った。
闘将らしい物言いだ。4月を終えて最多タイとなる貯金7には「少ないな」とポツリ。それでも、宿敵への無敗街道には「選手がよく頑張っているね」と、この時ばかりは遠慮なく相好を崩した。
豪快に「はね返し」た。矢野だ。片岡の適時打で同点に追いついた四回、一死一、三塁の場面で、高橋尚の5球目のボール球を見送った。一塁走者の片岡は、ディレード気味にスタートを切っていた。「ちょっと振れなかった。ヒザ元へ来たんで…」と痛恨の見逃し。片岡は二塁上で憤死した。
しかし、そこでヘコんでいるほど青くはない。直後の6球目。内角への直球を左翼スタンド中段近くまで運ぶお手本のようなアーチを描いた。「(ミスを)取り戻すこと、井川を楽にしてやりたいということ。いろんな気持ちが入り交じって、何とか(走者を)かえしたかった」。その一心だった。
田淵チーフ打撃コーチが「お手本」と呼ぶ最短軌道のスイング。「打てる捕手」として築いた地位は盤石だ。しかし、矢野が見つめる先は違う。
「ワンバウンドを止めたり、守りで貢献したい。打てるに越したことはないけど…」
今季は開幕10試合で、5つの捕逸を喫している。悔やみ切れなかった。中継ぎを含めれば若手が大半を占める虎投に信頼されなければ、自分の存在価値はないと思った。
「(守備と打撃は)区別できるようになってきた。引きずったらチームに迷惑をかけるから」。自分を殺し、敵と戦う。その姿勢がまた虎投を乗せる。
「接戦でいけば何とかなるという雰囲気がある。気持ちのつながりがそうなっている感じ」。2試合連続で最後の打者を三振に斬ったウィリアムスとともに、本塁上で派手に雄叫び。本拠地での勝利の“恒例行事”だ。
「(4月を)終わってみてぜいたくなことは言えんが」と、星野監督は前置きした。その上で「いろんなミスで落とした試合がある。でもそれを取り返してくれての7つ(の貯金)や」と誇りを胸に4月を終えた。
昨季喫した70敗のうち、1点差は22試合。しかし、1点に泣いたことはムダじゃなかった。その輝きは本物―。「はね返す」力がある。(船曳陽子) |