GWで賑わう全国各地の行楽地。しかし、一番楽しく、そしてエキサイトできるのは、間違いなく甲子園だろう。強い星野阪神が、また強い勝ち方で4連勝だ。投げれば負けない伊良部秀輝投手(33)の“不敗神話”も継続され、土曜日は負けなしの6連勝。日曜もこの調子でいったれ―。 |
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ヤクルト |
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阪 神 |
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× |
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勝:伊良部4勝
S:安藤1勝1S |
本塁打:− |
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夕日が差し込む甲子園。勝利の余韻に浸る虎ファンの波が、阪神甲子園駅へ向かって流れていた。その群衆の中にヒーローはいた。
シャワーを浴びて私服に着替え、黒のリュックサックを肩に引っ掛け、関係者出入り口から伊良部が現れた。待機していたタクシーまで約30メートル。心配する警備員に「大丈夫ですよ」と言って歩き始めた―。
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四回勝ち越しタイムリーを放った今岡が今季初のお立ち台に
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MAX149キロ。公式戦最速を計時した直球を軸に、序盤は押しまくった。四回、連打などでピンチを招き、真中の犠飛で先制点は許したが、動じる気配すらない。後半は変化球主体の投球に切り替え、ヤクルト打線の反撃をかわした。
五回、稲葉に対して1球ストライクを投げ込んだ後、右足の中指、薬指がつった。「暑い日に汗をかくと脱水症状からよくなる」と佐藤投手コーチ。マウンド上で約5分、猿木チーフトレーナーが指のストレッチを施し、再び投げ始めた。
稲葉を中飛、宮本には中前打されたがベッツ、ラミレスから連続三振。スキを与えない。6回で97球を投げ6安打1失点。リリーフ陣がリードを守り切り、伊良部は負け知らずの4勝目をつかみ取った。
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1回1/3をピシャリ!プロ初セーブを挙げた安藤が星野監督に迎えられる |
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伝説は着実に築かれつつある。負けない。伊良部が投げた6試合は5勝1分け。しかも土曜日は開幕カードから6連勝だ。強烈な勝利のジンクス「伊良部」プラス「土曜日」。勝ち運十分、負けるわけがない。
試合前、島野ヘッドは「この3連戦のアタマを取らなあかんのや。とにかく普通にいかんとな」と言った。巨人を2年ぶり3タテで下した直後。2勝1分けに終わった前回の巨人戦(4月11〜13日)の後のヤクルト戦では2連敗している。同じ失敗はしたくなかった。
9連戦の初戦。「(先発が)ゲームをつくってくれたのは大きい」と佐藤コーチ。伊良部は「最後までいきたかったんですけどね。自分としてはまだいけると思っていた」と振り返った。
オープン戦で150キロジャストを計時した。あと1キロ―。「もうじきでしょうね」。その手応えに笑みを浮かべて、伊良部は人波にのまれていった。(岩田卓士) |