17安打で12点。去年なら大騒ぎでも、今年の阪神はこれが「普通」なんです。田淵チーフ打撃コーチが公募プランをぶちあげたV打線が、米子でも大爆発。4安打の浜中おさむ外野手(24)を中心に全員で打ちまくった。4連勝、貯金12。2位・巨人とは5差となり、いよいよ虎の独り旅―。 |
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阪 神 |
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広 島 |
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勝:井川5勝 |
本塁打: |
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米子の風が心地よい。なぜか―。主砲が打って、さらに打線爆発なら誰もがそう思う。4試合連続となる2ケタ安打で快勝。風に誘われ、六甲おろしが響き渡る。この快進撃、「強い」だけでは言葉が足らない。
主役の1人、浜中がまたも魅せた。五回、二死満塁で雰囲気を漂わせながら主砲が打席に立つ。甘い球は初球から見逃さない。振り抜いた打球は、右翼線の横に落ちる2点適時二塁打。満塁の場面では、今季7打数5安打、1本塁打に16打点とめっぽう強い。
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粘りの投球で7回2失点プロ初勝利の思い出の地で5勝目を挙げた井川 |
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「チャンスこそ、自分自身を励まし勇気を起こして打ちにいった結果です」と息を弾ませ、二塁上で笑みを漏らした。この時点で早くも猛打賞。八回にはさらに左翼二塁打を放ち、昨年5月23日の巨人戦(甲子園)以来となる4安打だ。
その打線に愛称を求める田淵チーフ打撃コーチも、つられて笑顔が出てくる。ビッグイニングは二死からの猛攻撃。「大量点になるときは、ここぞというところで安打が出る。低めの球を打てないと点にはつながらないが、それが安打でつながったな」。この後、片岡、矢野と適時打が続いてこの回11人を繰り出し、6点を奪った。
最近は“会話の少なくなった”師弟関係。田淵コーチはこう語る。「ハマには言うことが少なくなってきたな。うれしいことだけど、寂しいもんだよ」。結果を出し続ける愛弟子はこう答える。「タイミングの取り方が良くなってきた。ゆっくりと取れるようになって、待ってボールが打てる」。4番打者に好調の証。それはチームにも波及してくる。
つないだのは今岡だった。五回は左翼二塁打で出塁し、浜中の一打で本塁を駆け抜けた。「二塁打数がトップ?いいことだね。でも今日も浜中でしょう」と照れ隠しで笑った。自信タイ記録となる13試合連続安打。浜中だけで打線が回るわけがない。核弾頭もいてこその、首位快走だ。
39試合目で早くも8度の2ケタ得点。昨年が140試合で10回だから、いかに攻撃力がアップしているか分かる。これで星野虎では最多タイとなる貯金12。2位・巨人との差もついに独走態勢と言える「5」に開いた。米子の心地よい風に吹かれながら、独り旅に入った虎戦士たちが意気揚々と帰りのバスに乗り込んで行った。(鶴崎唯史) |