逆転で、また勝った。今季22度目の、この快感。「ベテラン」…いやいや、働きざかりの同期トリオが、やってくれました。33歳・桧山が先制打を打てば、33歳・片岡は同点打。そして、35歳・金本が試合を決めた。2番・赤星から続く黄金の左カルテットで全打点。浜ちゃんも、頑張って!!
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阪 神 |
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ヤクルト |
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勝:安藤2勝
S:ウィリアムス14S |
本塁打:− |
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ヒーローはシャワーを浴びていた。だれもいなくなったロッカールーム。出入り口すぐ前のイスには、黒のバッグが無造作に置かれていた。10分後、腰にバスタオルを巻いた金本が、筋骨隆々の上半身をあらわにしてふろ場から戻ってきた。
「結果オーライ」。主役になった自覚はない。同点の八回、二死一、二塁。そこまで4打席凡退していた。「かなりブルーだった」。それでも打席に入れば気持ちを一新。河端の146キロ速球を引っ張った。ライト右突破の決勝二塁打だ。
狙い球は違った。「外の真っすぐ系かフォークを待ってたら、インコースに速い球が来たから慌てて打った」。予期せぬコースにも瞬時に反応し、その一振りで勝負を決めた。
そんな金本が「あそこでよう打ったよ。負けてる場面で打つ方がきついからね。オレは同点だったから」と“真のヒーロー”とたたえたのが片岡。2点を追う七回、一死満塁、左前へ貴重な同点打を放った。
「嫌な雰囲気やったから1本打ててよかったよ」と片岡。五回の第3打席の三塁邪飛を猛省し、すぐさま七回の好機でうっ憤を晴らした。
金本は、さらに桧山の名を挙げた。
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最後の打者を打ち取りガッツポーズをするウィリアムス |
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「ひーやんが調子いいから、2回ともランナーを進めてくれた」
初回、一死一塁、金本の二ゴロ進塁打で二死二塁とした後「どんな形でもいいからランナーをかえしたいと思った」という桧山が右前先制打。七回には無死一、二塁からまたも金本が二ゴロ進塁打を放てば、桧山が四球を選んで出塁。片岡の同点打を呼び込んだ。
3人はいずれも92年プロ入りの同期生。ただ、金本は高校卒業後、一浪しているため年齢が違う。先輩、後輩の関係は大学では学年、プロでは年齢で決まる。ということは現在、金本は2人の先輩にあたるのだが、そこは大学時代からの付き合い。敬語なんて必要ない。「かねもっちゃん」と気軽に呼べる仲だ。
22度目の逆転勝ち。「早く貯金を20にしたい。チームの絶好調を去年より1カ月伸ばしたいね。6月まで飛ばしたら楽でしょう」と言って黒のジャケットをはおった金本。瀬戸内海を渡ればそこはもう広島。つかの間の帰郷へ、急いで球場を飛び出した。(岩田卓士)
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