いや〜、シビれました。阪神・桧山進次郎外野手(33)が決勝5号&ダメ押し6号と連発だ。2位・巨人との差が、な、なんと10ゲームです。セ界独走で貯金も「22」に。ちょっと気が早いけど、星野監督が聞けば「何言うとる!」って怒るだろうけど…。7月中のVマジック点灯、見えてきたかも?
|
|
阪 神 |
1 |
0 |
0 |
2 |
1 |
0 |
0 |
2 |
1 |
|
7 |
ヤクルト |
1 |
0 |
0 |
0 |
2 |
1 |
0 |
0 |
0 |
|
4 |
勝:安藤4勝
S: |
|
|
どうしても言いたかった。虎党の大声援が鳴りやまぬ中でのヒーローインタビュー。最後の最後で、桧山は少し照れ笑いを浮かべながら口を開いた。
「公共の電波で申し訳ないんですが、今日は息子の誕生日だったんで。祝えてよかったです」
この夜ばかりは、少々の「電波ジャック」も許される。チームを今季6度目の4連勝、今季最多の貯金「22」に導いた立役者。ちょっぴり「父親」の顔をのぞかせたぐらいで、文句をつける者など誰もいない。
ライト外野席まで虎党が押し寄せて、4万5000人の満員御礼となっ神宮の杜が、最高の盛り上がりを見せたのは、4―4の同点で迎えた八回だ。フルカウントからの6球目。先頭打者として打席に立った桧山が、鎌田の投じた133キロのフォークを右翼席に叩き込んだ。
自身35試合、111打席ぶりの5号ソロは、ヤクルトに傾きかけていた流れを引き戻し、勝利への機運をグッと高める「号砲」となる。「とにかく塁に出ることだけを考えていた」。無心が呼んだ価値ある一発。だが、桧山の奮闘はこれにとどまらない。
2点リードの九回二死では、カウント0―3から成本の速球をまたもや右翼席に運んだ。実に98年4月7日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、5年ぶりとなる2打席連発。胸を張り、ダイヤモンドを一周する勇ましき桧山の姿に、虎党たちも総立ち状態で大喝さいだ。
1年前の6月6日。桧山家に長男・周成君が誕生した。産声を上げて1年たったこの日、東京遠征に出掛ける前に、パパは愛息のかわいらしい顔を見つめながら誓う。「頑張ってくるからね」―。だが、その思いは序盤、バットに伝わらなかった。
五回一死満塁で空振り三振に倒れるなど、3打席目までは死球を含めて、快音を響かせられない。「五回ぐらいにね。誕生日なのに打ってないって思って…。何とか残りの打席で打てればいいいと思った」。その願いを、自身の力で実にする。何物にも替え難い「贈り物」になった。
これで2位・巨人とのゲーム差は今季最大の「10」まで広がった。「先のことは考えずに一つ一つ、大事にやっていきたい」。5という究極のプレゼントを虎党に、そして愛息に贈るまで―。桧山は選手会長として、父として、戦いのフィールドにまた身を投じてゆく。(岡本浩孝) |