秒殺!金本G倒弾!また勝ちました。初回にわずか9球で奪った先制3点。9号2ランをドカンと決めた金本知憲外野手(35)は、それでも「まだ巨人に引導は渡しとらん」と慎重です。でも、でも…。27年ぶりの貯金26。2位と今季最大の11ゲーム差。魔の6月?こちらも17年ぶりに勝ち越しじゃい! |
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阪 神 |
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勝:下柳3勝 S:ウィリアムス19S |
本塁打:金本9号 |
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短い導火線は着火までに時間を費やさない。時計の針は、試合開始からわずかに5分進んだだけ。木佐貫の手には実感すらこもらない。たった9球ではそれもそのはず。反対に、実感が細胞レベルまで行き渡っていたのは金本だ。ゆっくりと回るダイヤモンドが、余計に気分を盛り上げた。
この日のクライマックスは初回だった。速攻で1点を奪い、無死三塁で金本。5球目、外角高めの144キロ直球を振り抜いた。放たれた白球は、さながら導火線を伝う炎。左翼ポールをかすめてスタンドに入ると、虎党の魂にも火がついた。
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巨人戦17イニング無失点の好投で3勝目を挙げた下柳(中央) |
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「なんとか外野フライをと思ってたんだけどな。外野の応援?元気のもとになってるな」。今季第9号となる2ラン。チームが苦手とする木佐貫からも2本目となり、まさに拝みたくなるような活躍ぶりだ。
お膳立ても完ぺきだった。先頭の今岡が初球を左翼線に落とす。「レフトのエラーは見えていたよ」と、試合前に自打球を当てた足を回転させ二塁へ。赤星は2球見送ってから一塁前に犠打。捕った清原の送球がそれ、一塁側フェンスに到達する間に今岡が生還、赤星は一気に三塁まで陥れた。「ミスにつけ込んで、ここでガッといけるか」。金本は、そう感じて打席に向かう。ならば打たない男ではない。
この日球場入りすると、まずトレーナーを探した。わき腹付近にある腸腰(ちょうよう)筋に負荷をかけたかった。スイングには欠かせない個所。じっくりと押された筋肉が、疲労の度合いを和らげる。「彼じゃなければ痛いぐらいだろうけどね」と常川チーフトレーナー補佐も、ゆっくりと力を込めた。
前日の八回猛攻撃とは違い、この日はわずか5分で3点。「勝ち方がバラエティーに富んでるな。金本?あいつ本来の当たりじゃないけど、ここはよく飛ぶ。あの2ランは大きいよ」と話した星野監督も、手にした実感は大きい。
今季3度目の5連勝で、86年以来となる6月の勝ち越しが決定。「まだまだ半分も終わっていない」と金本は慎重を期すが、恐らくこれが今季の“引導弾”になるだろう。(鶴崎唯史)
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