見たか!エースの完全復活劇を。阪神・井川慶投手(23)が、今季初完封でハーラー単独トップの9勝目。初の6連勝でチーム勝率は7割を超え、ついに来月1日にも史上最速マジック点灯の可能性すら出てきた。優勝するか、じゃない。井川復調なった今、もはや興味はナンボほど勝つねん、に移ったデ! |
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広 島 |
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勝:井川9勝
S:− |
本塁打:− |
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意地と誇りがあったからこそ、立ち続けた。エースの証明。左腕の自己主張。「やっと完封できました。ありがとうございます」。どんなことが起こっても、このマウンドだけは、誰にも譲る気はなかった。
突然のアクシデントに襲われた。初回、快調に二死を奪ったその後だ。町田に対して6球を投げ、カウント2―3となったところで、タイムが取られる。苦もんの表情を浮かべ、額の汗をぬぐう井川。ベンチから猿木チーフトレーナーと、佐藤投手コーチが駆け寄った。
「行けと言った。間を取ることも含めてね」と星野監督。猿木トレーナも「肩で息をして変な感じだった」と異常に気付いていた。原因は「酸欠」。空調で気温を調節していたとはいえ、熱が込もりやすく、また慣れないドーム球場であったために起こった事態だ。
4万8000人の大観衆が見守る中、深呼吸を繰り返す。「どこも痛くないです。ちょっと息苦しいだけです」。そう告げると、また「戦場」へと身を投じた。
「点を取ってくれた後で、あそこを抑えられたのは大きい」。四回、連打を浴びて無死一、三塁のピンチを迎えたが、シーツを三振、ハーストを併殺打に打ち取った。「後遺症」はないように思えた。いや、“思わせなかった”のだ。
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これぞ4番だ三回二死から左中間へタイムリーを放ち打線に火を付けた |
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初回から八回のマウンドに上がるまで、ベンチ裏では、必死の回復作業が繰り広げられた。携帯用の酸素ボンベに何度も口を付け、懸命に自分を取り戻そうとした。蓄積されたダメージ。それでも、九回にこの日最速の146キロを出し、150球の熱投を披露した。
昨年7月2日(ヤクルト戦)以来の完封劇。チームも今季初の6連勝で、勝率も・701。チームの快進撃に、さらに勢いを与えるハーラートップの9勝目だ。
「手応え?まだその過程。上り調子です。夏場に向けての調整?今季初の試みですし、次KOされたら一緒ですからね」
苦しみを押し殺し、大歓声に手を叩いて応えた井川。「大丈夫ですよ。だから最後まで投げられたんです」。自ら多くを語ることはない。結果ですべてを示す。だから「エース」なんだ。(道辻 歩) |