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エースの完全復活劇だ

阪神7−0広島
6月25日・大阪ドーム
 
 見たか!エースの完全復活劇を。阪神・井川慶投手(23)が、今季初完封でハーラー単独トップの9勝目。初の6連勝でチーム勝率は7割を超え、ついに来月1日にも史上最速マジック点灯の可能性すら出てきた。優勝するか、じゃない。井川復調なった今、もはや興味はナンボほど勝つねん、に移ったデ!
 
阪 神
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勝:井川9勝 S:−
本塁打:−
初回には酸欠になりながらも奮闘、今季初完封の井川

 意地と誇りがあったからこそ、立ち続けた。エースの証明。左腕の自己主張。「やっと完封できました。ありがとうございます」。どんなことが起こっても、このマウンドだけは、誰にも譲る気はなかった。

 突然のアクシデントに襲われた。初回、快調に二死を奪ったその後だ。町田に対して6球を投げ、カウント2―3となったところで、タイムが取られる。苦もんの表情を浮かべ、額の汗をぬぐう井川。ベンチから猿木チーフトレーナーと、佐藤投手コーチが駆け寄った。

一回、赤星が二盗を決め今季30盗塁を記録した

 「行けと言った。間を取ることも含めてね」と星野監督。猿木トレーナも「肩で息をして変な感じだった」と異常に気付いていた。原因は「酸欠」。空調で気温を調節していたとはいえ、熱が込もりやすく、また慣れないドーム球場であったために起こった事態だ。

 4万8000人の大観衆が見守る中、深呼吸を繰り返す。「どこも痛くないです。ちょっと息苦しいだけです」。そう告げると、また「戦場」へと身を投じた。

 「点を取ってくれた後で、あそこを抑えられたのは大きい」。四回、連打を浴びて無死一、三塁のピンチを迎えたが、シーツを三振、ハーストを併殺打に打ち取った。「後遺症」はないように思えた。いや、“思わせなかった”のだ。

これぞ4番だ三回二死から左中間へタイムリーを放ち打線に火を付けた

 初回から八回のマウンドに上がるまで、ベンチ裏では、必死の回復作業が繰り広げられた。携帯用の酸素ボンベに何度も口を付け、懸命に自分を取り戻そうとした。蓄積されたダメージ。それでも、九回にこの日最速の146キロを出し、150球の熱投を披露した。

 昨年7月2日(ヤクルト戦)以来の完封劇。チームも今季初の6連勝で、勝率も・701。チームの快進撃に、さらに勢いを与えるハーラートップの9勝目だ。

 「手応え?まだその過程。上り調子です。夏場に向けての調整?今季初の試みですし、次KOされたら一緒ですからね」

 苦しみを押し殺し、大歓声に手を叩いて応えた井川。「大丈夫ですよ。だから最後まで投げられたんです」。自ら多くを語ることはない。結果ですべてを示す。だから「エース」なんだ。(道辻 歩)


 激闘ダイジェスト
3回裏  藤本が左前打、井川は四球。今岡、赤星の連続タイムリー、2死から桧山も左前適時打で3点先行
4回裏  1死から片岡が四球、矢野は右越え2塁打、藤本の中前2点2塁打で5−0。さらに今岡の犠飛で6点目
7回裏  1死から今岡が中前打。赤星倒れるも金本が右前適時打
9回表  2死1、2塁となったが代打・森笠は右飛

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