2003年7月8日。タイガースの歴史が動いた。85年以来、18年、6509日ぶり。セ・リーグ最速で、マジック「49」が点灯した。今岡誠内野手(28)の史上初となる、2試合連続の初球先頭打者本塁打が幕開け。アリアスの2発に井川の完投勝利。今季を象徴する、全員での勝利だった。 |
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阪 神 |
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広 島 |
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勝:井川11勝
S:− |
本塁打:今岡7号、アリアス19、20号 |
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2試合連続で初球をガツン。今岡がマジック点灯劇の幕を開けた |
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18年間、待ち続けた瞬間が、ついにやって来た。今岡は、ベンチにいた。ウイニングボールをつかんだ赤星が、戻って来る。星野監督が出迎える。指揮官も、ナインの表情も、いつもと変わらない。だが、確実に歴史は動いた。
「49」。星野監督が、故郷でマジックを点灯させた。
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苦しみながらも完投で11勝目。エースでカウントダウン開始 |
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「下を見とる間やったな」。指揮官を驚かせたのは、リーダーの今岡だった。まだ夕陽が球場を照らしていた。初回、先頭打者といえば今岡しかいない。そしてまたも初球。2日前のVTRを見返しているように軌道が重なった。131キロのスライダーは、歓声に呼び込まれるように左翼席へ。「(頭の中で)まとまらなかったら打たないからね」。イメージと現実がピタリと重なった。
6日のヤクルト戦から、史上初となる2試合連続の初球先頭打者本塁打。「記録?そうなんだ。それで」と興味は示さないが、初球を運んだのは今季3本目。90年の野村謙二郎(広島)に肩を並べるが、今岡にとってみればそれも眼中にないだろう。
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倉敷の夜はアリアスナイト。さすがの2打席連発。迎えた桧山も猛打賞 |
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二回にも適時打を放ち、勝利を決定づけた。八回の打席で退き、猛打賞ならず、自己記録は3試合連続で途切れたが、それも関係ない。勝てばいい。その筋道をたどったからこそ、マジックがともる。しかも55年・巨人の7月30日を大きく上回る、セ界史上最速の点灯式。Vまでのゴールテープに、「49」という数字が書き込まれた。
数字の大きさのせいか、今岡も慎重に話す。「いつも通りだと思うよ、みんな。明日も今までと一緒で、頑張るだけ」。加えた指揮官もさらに言葉を選んだ。「一戦一戦ゲームをやらんと、減らせるわけないやろ。毎試合、今日みたいにやっていけばいい」。最終回、井川の乱調に気を悪くしたのか、笑みは一切漏れなかった。
それでも阪神では85年以来となるマジック。こんな歴史的な日はない。対象は巨人・ヤクルトの2チームになるが、今岡は「いつも通り」と二回繰り返した。今季初の7連勝。“マジック”に照らされたヒーローは、やはりいい顔をしていた。(鶴崎唯史) |