使い古されたけど、やっぱり言わせてほしい。「神様」だ。阪神の4番・八木裕内野手(38)の千金2点打に導かれ、阪神が56年ぶりの貯金40に到達だ。対中日7連勝で優勝マジックも「36」に。天神祭の船渡御で盛り上がった大阪を尻目に、こちら名古屋は虎祭、八木祭です! |
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阪 神 |
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中 日 |
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勝:下柳7勝 S:− |
本塁打:− |
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スタメンでも神様は神様。適時2塁打で貯金「40」を演出 |
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まだまだ勝ちたい。もっともっと自分のレベルを上げたい。「打ちたかったけどね。まだまだ勉強が足りないね」。ナゴヤドームでは一発を放ったことがない八木は、勝利を決めたフェンス直撃の2本の二塁打にも、反省の言葉を口にした。大ベテランにして慢心なきこの姿勢。だから星野阪神は強い。
初回に1点を先行されたが、それぐらいではビクともしない。反撃への口火を切ったのは、2試合連続で「4番」に座った八木だ。二回無死から、中堅・アレックスの頭上をはるかに越える二塁打を放つ。これが逆転劇への呼び水となった。
「みんなグラウンドに出れば、マジックとか考えない。目の前のことに集中してやるだけだよ」
八木の言葉通り、ナインはただひたすら、勝利のためにバットを振り続けた。この回、アリアスの中越え二塁打で同点、沖原の内野ゴロの間に勝ち越した。一度勢い付いた打線は、もう止まらない。
続く三回一死一、二塁の場面では、またも八木が左中間フェンスを襲う二塁打で走者を一掃した。桧山も右前打で続き、矢野も中犠飛。この回に奪った4点も、背番号3の一打があればこそだった。
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自打球の影響なんて感じさせない。今岡のバットも快調だ |
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対峙(たいじ)した野口には抜群の相性を誇っていた。これで今季の対戦成績は9打数6安打の5打点。「たまたまだと思う」と笑い飛ばすが、額面通りには受け取れない。今季でプロ17年目。38歳を迎えても打撃に対する探究心は衰えることなく、いまだに燃え盛っている。
レギュラーで一時代を築き、ここ数年は代打の切り札として活躍してきた男は、まだ成長の余地を探る。
「今の右打者で一番、理にかなったフォームで打っているのは谷(オリックス)かな」
時間があれば、直接対戦することがないパの好打者の打撃にも目を配る。スコアラー室に足を運び、配球を見直すこともしばしばだ。これほどまでに野球に打ち込むベテランが、チームの精神的な支柱。強いのも当たり前だ。
これで貯金は2リーグ分裂後は初、実に56年ぶりとなる「40」にまで膨らんだ。中日戦も85年以来となる7連勝だ。「みんな集中力がすごいから。すごいよ、選手が」。星野監督もナインを褒め称えるしかない。八木をはじめ、1人1人がどん欲だ。だから勝ち続ける。だからVを手にする権利がある。(岡本浩孝)
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