やっぱりだ。連敗脱出に欠かせないのは金本知憲外野手(35)のバット。初回に先制2ランが飛び出し、やっぱり阪神の“強力応援団”となってくれていた横浜戦で連敗ストップ。同カード20勝目でマジックは18。いろいろ心配をおかけしましたが、もう大丈夫。あとは突っ走るだけ。 |
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阪 神 |
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横 浜 |
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勝:下柳8勝
S:− |
本塁打:金本16号、アリアス25号 |
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流れをせき止めていた大きな岩を打ち砕いたのは、鋼の肉体を持つこの男。金本のひと振りが、5日間も枯渇していた打線という名の川が、あふれんばかり流れを取り戻した。
初回一死一塁。堤内の138キロ直球に、金本のバットが反応する。快音を残して舞い上がった打球は右中間スタンドに突き刺さった。21日の中日戦に続く初回アーチは、先制の16号2ラン。これは7月2日の中日戦以来、約1カ月半ぶりの3割復活弾でもあった。
「流れを変えた?そうだね。そういう気持ちはあったよね。沈滞ムードが続いていたから、先制点を取って景気づけたいと思った」。その通り。この一発が、猛虎打線に火をつけた。打ちも打ったり14安打。17日の巨人戦(東京ドーム)以来の2ケタ安打だ。
四回には、一塁への打球に気迫の疾走。これを内野安打とすると、六回には無死一塁から中前打で好機拡大。これがアリアスの適時二塁打を呼んだ。決めてよし、つないでよし。非の打ちどころがない。
どうしたら打線がつながるのか―。連敗中、自身が果たすべき役割を考えていた。「今は4、5番がバラバラ(日替わり)。だから1、2、3番で何とか得点に絡まないと」。まずチームを思い、そして自らのバットを磨く。頼れる男と呼ばれる理由は、ここにある。
星野監督が目を細める。「あれ(金本)はアドバンテージだと思ってる。元気にしてることが普通だからね」。1人、また1人と主力が離脱する中でも、この男だけはびくともしない。
「基本ができていない者が負ける」という指揮官の考え。これは金本の共通認識でもある。この日の試合前には、フリー打撃の後、ミラールームで黙々とフォームチェック。常に基本に徹するその姿勢が、全試合全イニング出場を可能にし、さらに好不調の波をなくす。「チームが苦しい時に打ってる?自分の調子はそうでも(悪く)ないからね」。指揮官が全幅の信頼を置くのは当然だ。
これでマジック18。再びVロードを歩み始めた。その立役者は、まぎれもなくこの男。球場外から虎党の喝さいが降り注ぐ。「金本ありがとう」。背番号6は、正義の味方のように小さくうなずきながら、帰りのバスに乗り込んだ。(松下雄一郎)
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