ゴールが見えた。ハッキリ見えた。阪神・ジョージ・アリアス内野手(31)が2打席連続弾。マジックは、ついに1ケタの「9」になった。負けない。強い!強い!6連勝。こうなったら、勝ち続けてくれ。夢じゃない。甲子園での胴上げが見たい。9月7日、最短Vまで突っ走れ。 |
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阪 神 |
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広 島 |
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勝:伊良部13勝 S:安藤5S |
本塁打:アリアス29、30号 |
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2打席連発を含む4安打4打点。アリアスが暴れまくった |
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声を限りに、みんなが叫ぶ。ゲームの主役の名を連呼する。ヒーローインタビューの最中、アリアスも柔らかな笑みを浮かべて、それに応えた。「とにかく勝ちたかったんだ」。Vに向けて、はやる思いをバットに込めた。2打席連続アーチを含む、4安打4打点。好調をキープする男が、ついにチームをマジック1ケタの領域まで導いた。
猛打ショーは、特大アーチから幕を開けた。1点を追った二回一死。高橋の131キロスライダーを、左翼席上段まで運んだ。「うまくボールを迎え入れられた」。最高の感触は、続く打席にも持ち込まれる。1―1の同点で迎えた四回無死。今度は132キロのシンカーを右中間にはじき返す、勝ち越し弾だ。
この連発でオリックス時代を含めて、自身3年連続の「30号到達」。2年連続の大台突破は阪神では85〜87年のバース以来、通算6人目の快挙でもある。これで実に9戦7発。ここにきて、完全な量産態勢に入った。
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広島からも白星。苦しみながらも“セ界制覇”を達成した伊良部 |
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好調の秘けつは、日々の下半身強化にある。最近になって前田トレーニングコーチの勧めで、短距離ダッシュの量を増やした。キャッチボールの延長でパートナーを座らせ、変化球を交えた「投球練習」を行うことが日課だが、それも遊び感覚の中で、下半身の筋力を養う狙いがある。持ち前の上半身のパワーにシャープな下半身が見事にかみ合い、今の好調がある。
打点は昨年を上回る「84」まで伸びた。そして本塁打王争いのトップに立つ、ウッズ(横浜)、ラミレス(ヤクルト)にも1本差に迫ってきた。「自分もトライしてみたい」。この打ちっぷりなら、タイトル奪取に意欲的な言葉が口を突くのも無理はない。
五回の第3打席でも、中押しの左前打を放った。七回にはダメ押しの左中間二塁打。普段は感情を表に出さない男が珍しく、塁上で両手を叩き、ベンチに向かって指を突き出した。助っ人砲の心も躍っている。
マジックは9になった。今季3度目の6連勝で、7日・横浜戦での「本拠地V」の可能性も残った。「優勝するその日までみんなで頑張りたい」。アリアスの言葉通り、一丸で突き進めば、最高の「夢」は現実になる。(岡本浩孝) |