ダイエーが９月３０日、３年ぶり３度目のリーグ優勝を決めた。千葉の夜空に舞った王貞治監督(６３)の、次なる目標は日本一。すでに、リーグ優勝決めている阪神・星野仙一監督(５６)も、一歩も引かない。阪神VSダイエーの日本シリーズは１０月１８日、福岡ドームで開幕する。

阪　神 ０ ０ ０ ０ ０ １ ３ ０ ０ ４ ヤクルト ２ ０ ０ ０ ０ １ ０ ０ ０ ３ 勝：井川18勝 Ｓ：ウィリアムス１勝25Ｓ 本塁打：−

生還した広沢を熱いタッチで迎える井川

　前を歩く岡田コーチが、振り返って阪神・井川に声をかける。「お前、勝ち投手じゃないやろ」。バスに向かう三塁側の階段。急ぎ足をやめたエースは「そう思います」と苦笑いで返した。自分は“敗戦投手”ですという態度で、申し訳なさそうにウィリアムスとハイタッチをした。

逆転のホームへ。激走する広沢

　初回に２点を先制され、六回にはさらに追加点を許した。同じ二死から。同じ鈴木に。代打を送られた七回に、チームが逆転しなければ夢はついえていた。これも強運かもしれない。結果的に１８勝目を挙げ、防御率トップも維持した。

　２０勝に挑戦させてやろうという星野監督も苦笑いを浮かべる。「あいつも頑固やから。ずっとそのペースを守っている」と、打線に助けられるという、“いつもの風景”を振り返った。５日、１０日が、夢へ向けた登板日。闘将の血圧がまた上がりそう？

ベテランの意地に負けてられない。赤星が千金の逆転タイムリー

　２０勝に到達すれば、球団としては１９７９年の小林繁以来という快挙になる。重圧は感じるが、ただこれもチャンスと考えている。登板の前々日に、虎風荘で声をかけた同い年の中谷は「あいつはいつもあんな感じ。別に普段と変わらなかった」と言った。何があってもマイペースを崩さないところは、さすがに不動のエースだ。

　シリーズ初戦の先発が内定。だからこそ、東京の虎党にも安定した姿を見せたかった。「防御率もかかっていたから、無失点で抑えたかったけど３失点は悔しいです」と、再び急ぎ足でバスに向かった。“２０勝ロード”の次の相手・広島には今季８戦で６勝１敗。神宮で拾った運は、しっかりと西に持っていく。（鶴崎唯史）