どやっ、見たか。これが、猛虎や。ネット裏に、ズラリと並んだ47人の鷹軍団を、軽くビビらせときました。八回、桧山進次郎外野手(34)が決勝の満塁弾。三回には、つないで、つないで4点を奪った。強力打線の完全復活!ダイエーの100打点カルテットにも、負けへんでぇ〜。 |
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阪 神 |
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広 島 |
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勝:下柳10勝 S:− |
本塁打:アリアス38号、桧山16号 |
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スタンドからダイエー偵察隊の熱視線を浴びながら桧山は値千金の満塁弾 |
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自分にしかできない仕事を、やってのける男だ。逆風を突いてバックスクリーンの右に吸い込まれた打球を、敵将の目にしっかり焼きつけた。ガッツポーズをするでもない。淡々とベースを周回する桧山の姿に貫録が漂う。
6―6の八回、一死満塁から勝ち越しの満塁弾。「勝てたのが一番良かったよね」。広島市民球場で戦った“敵”は、もはや赤ヘルではない。王監督もいた。城島もいた。総勢47人で偵察に訪れていた最強の鷹軍団だ。だからこそ“勝利”が何よりのアピールになった。
「久しぶりに、みんなでつないでつないで(得点)できた」。ようやく“らしさ”が戻ってきた。2点を先制された三回、赤星の左前打と敵失、金本への四球などで無死一、三塁の好機にきっちり左前適時打。1点を返した。
関本、片岡が三振に倒れても、桧山が切った反撃の口火は消えない。矢野の左中間二塁打で逆転、藤本の中前適時打で2点をリードした。
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帰国即1発。本塁打王争いでトップに並ぶ38号弾を放ったアリアス |
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その後、リードを許したが八回には“逆転の虎”の本領を発揮。「犠牲フライにはなったと思ったけど、入るとは…」と桧山は苦笑したが、徹底した“つなぎ”の意識が生み出した一撃必殺のグランドスラムだ。9月15日の優勝決定後、眠っていたかに見えた打線は、ダイエーナインの熱視線を糧に、一気に息を吹き返した。
「もう1度、ビッグイニングをつくらないとダメ。相手を“死なせる”打線だよ」と息巻いていた田淵チーフ打撃コーチも「前から言っていただろう。ソツのない攻撃だよ」とご満悦。13安打10得点に、星野監督は「チーフが8月28日以来(の2ケタ得点)だと言っていた。手帳を開いて見とった」と笑った。
首脳陣も日本シリーズを前に胸をなで下ろす、値千金の一発。日本シリーズの4番候補には、桧山を筆頭にDHの広沢、八木らも名を連ねる。それでもやっぱり“本命”は、頼れるこの男だと再確認させた。
ダイエーのパ・リーグ制覇を受けて「集大成を見せるつもり」と語っていた桧山。しかし、ダイエー軍団とネット越しに“対面”したこの日は違った。日本シリーズへの抱負を聞かれて「まだそういう感じじゃない」とあえて、すかしてみせた。手応えはつかんだ。だからこそ、言葉はいらない。大一番へ「挑戦者」の姿勢は忘れない。(船曳陽子) |