シーズン最終戦が、日本シリーズへの号砲となった。井川慶投手(24)が阪神では24年ぶりとなる20勝に到達。ダイエー・斉藤と井川。両リーグの20勝投手が、第1戦で相まみえる。試合後、桧山進次郎選手会長(34)が甲子園のファンに「皆さんと共に勝利の美酒を味わいたい」と言った。井川なら、やってくれる。 |
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勝:井川20勝 S:− |
本塁打:− |
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140試合目で20勝到達。快挙を成し遂げたエース井川 |
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黒星で始まった長い旅を、井川は20勝という記念星で締めくくった。猛虎の歴史を塗り替えた偉業。18年ぶりの優勝を飾った今季の最終戦で、成し遂げるのだから、さすがと言うしかない。虎の未来を担うエース。その称号は、この男のためにある。
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9月2日以来のスタメン。日本シリーズに向けて今岡も1軍復帰 |
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歴史の証人になろうと5万3000人が詰めかけ、今季の観客動員数が330万人を突破した夜の記念星。だが「野手の方が打って、守ってくれたおかげです」と浮かれた様子はない。ロッカーへと続く通路のそのすぐ横、プレスルームで星野監督はこう話した。
「20勝?どうなんやろ、今の野球で…。井川に聞いてくれ。何で勝ったんですか。答えは分かっていると思う。今日のゲームを見とったら」。直接言わずとも、井川はすべて分かっていた。
序盤の苦しい時期に、何度も打線に助けられた。阪神では、79年に小林繁が記録して以来の快挙だが、手放しでは喜べない。
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最後は選手会長・桧山がファンに日本一獲得を宣言。熱い声援に包まれた |
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それでも、20勝は1年を通してローテを守ったことを、示している。「ケガがなかったのがよかったです」と井川。その体の強さ―。ネット裏で“息子”の成長を見ていたのは、今年を最後に退職する梅本寮長だ。
「まさか20勝もするピッチャーになるとは思わなかった」。その出会いから6年目。「やっぱりケガがないのが大きい」と“父”は言う。たばこも吸わず、夜遊びもしない。門限より遅れる時も、理由はマッサージやトレーニングなど、すべて野球にかかわるものだ。
念願の防御率のタイトルも“当確”。阪神では64年のバッキー以来となる最多勝と防御率の2冠だ。「フル回転してもらわないといかん。エースの宿命や」とすでにシリーズ初戦の先発を予告しているように闘将は、全幅の信頼を寄せる。
「シーズンが終わって、次はシリーズですからね。ビデオを見て、これからですね」と井川。次の目標は、日本一の栄冠。その歓喜の輪の中には、必ず背番号29の姿がある。(道辻 歩)
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