侍ジャパン3安打完封負け…阿部3タコ
「WBC強化試合、阪神1‐0日本代表」(26日、京セラ)
目覚めたはずの侍打線が、またもつながらなかった。阪神を相手にわずか3安打の0‐1完封負け。本番を直前に控えて不安が広がる敗戦となった。また、阪神・鳥谷敬内野手(31)が「2番・二塁」で先発出場。無安打だったが好守で魅せた。二塁のレギュラーとして期待される楽天・松井稼頭央内野手(37)は、腰の張りを訴えて欠場した。
わずか1試合で貧打侍に逆戻りだ。虎投手陣にひねられ、わずか3安打零封負け。17日の広島戦に続き、またしても醜態をさらした。山本監督は「選手ひとりひとりが何とかしようという気持ちが強すぎて、バッティングカウントの甘いボールを凡打している」と険しい表情を浮かべた。
24日のオーストラリア戦では13安打10得点と爆勝。打線の組み替えが奏功し、山本監督も「替えた打者が仕事をしましたね」と、“どや顔”をさく裂させた。だが、わずか2日で表情は暗転。五回までに訪れた3度の好機を逃すと、六回以降は4イニング連続で三者凡退に仕留められた。
心配なのは、4番の阿部。この日は3打数無安打に終わり、これで実戦5試合で14打数2安打と散々な結果だ。七回、ボテボテの投ゴロに仕留められると、その裏の守備から交代。阿部は「バッティングが全然ダメ。きっかけがまったくない」と悲壮感を漂わせた。
日本代表とは思えない、凡プレーもあった。三回、1死二塁。3ボール1ストライクから、二走の松田が三盗を狙ったが、あっけなく憤死。坂本が四球で歩いた1球だっただけに、自重すれば一、二塁と好機は拡大していた。指揮官は「あの場面では100%、成功しなければ走ってはいけない。状況を考えて欲しかった」と切り捨てた。
この試合、山本監督がタクトを振るう場面も少なく、代打の切り札としてメンバー入りした井端の出場もなかった。試合後の会見では、代打などでの打開策はなかったのかと聞かれ「今は強化試合。(本大会では)こういう展開になれば代打、代走を使うが、今は慣れることが大事」と説明した。ただ、繰り返される“惨劇”を見れば、誰もが「浩二ジャパン」に対する不安を抱くのは仕方のない状況だ。
本大会まで、残された実戦の場は28日の巨人戦のみ。帰り際、山本監督は「こういう展開にならないようにしたい」と反省の弁を口にした。リリーフを中心に投手陣は安定しているが、打線の復調なくして3連覇は見えてこない。