浩二監督、阿部欠場も「待ったなし」

 「WBC強化試合、巨人1‐6日本代表」(28日、ヤフオク)

 開幕前の最後の実戦は主砲抜きでの戦いとなった。日本代表の主将、阿部慎之助捕手(33)=巨人=が右膝の違和感で欠場。緊急事態で組んだ新打線はつなぐ野球で得点を重ね、強化試合を勝利で締めた。ただ万全とはいえない状況で2日の開幕ブラジル戦を迎えることは確かだ。

 手放しで喜ぶことはできなかった。日本代表は強化試合の最終戦を快勝締め。だが、大黒柱・阿部の状態が気にかかる。山本監督は硬い表情を崩さぬまま「阿部慎之助がこういう形となったが、待ったなしで始まる」と目前に迫った本大会を見据えた。

 恐れていた事態が起きてしまった。試合前、阿部が右膝の違和感を訴える緊急事態。最後の実戦を欠場することが決まった。2日の開幕ブラジル戦の出場については「明日の状況を見てから」と指揮官。だが、捕手にとって負担の大きい右膝の負傷。梨田野手総合コーチが「阿部はDHで出場になるかもしれない」と話すなど、戦術に影響が出る可能性は高い。

 阿部不在のなか、打線は12安打で6点を奪った。だが、不安が解消されたとは言えない状況だ。山本監督は「日によって打線が爆発しない時、つながる時がある」と心配顔。阿部不在の場合はこの試合の打順が基本線としたが、代役4番の糸井は得点機に凡退を繰り返し、5打数無安打。腰に張りを抱える5番の長野も2打数無安打で途中交代となった。

 悪夢がよみがえる。守備走塁コーチとして臨んだ北京五輪。本戦直前に故障者が続出した。結果はメダルを逃す結果になった。山本監督は「(北京では)不安材料がすごくあった。今回はすんなり入れる準備をしたい」と苦い経験を生かすことを念頭に置いてきたが、当時と似た雰囲気が漂い始めている。

 試合前のミーティングで、山本監督は選手を集め「みんなで(阿部の欠場を)カバーしていこう」と呼びかけた。ベテラン井端は「阿部がいなくても1次ラウンドを勝つくらいじゃないと、世界一にはなれない」と、仲間を奮い立たせた。

 開き直り、捨て身の覚悟で挑むしかない。

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