マエケン復活!これぞエース!侍連勝
「WBC・1次ラウンドA組、日本5‐2中国」(3日、ヤフオク)
中国代表戦に先発した日本代表・前田健太投手(24)=広島=が5回を1安打6三振無失点に抑え、日本代表を2連勝に導いた。最速146キロ直球に、変化球を効果的に交えて危なげなし。右肩の張りで調整が遅れたが、大事な一戦で「完全復活」を印象付ける快投をみせた。
力強い直球にタイミングを外すスライダー、チェンジアップが決まった。カープを支えるエース前田の姿が、WBCのマウンドにあった。5回を1安打無失点、毎回の6三振を奪う力投。完全復活を遂げる56球で流れを引き寄せた。調整遅れで苦しんでいた姿はなかった。
「いろいろ心配をかけましたし、不安を払しょくするためにも、結果が付いてきて良かった。もう完璧です」
緊迫した試合で中国打線をきっちりと抑え込んだ右腕は、試合後のヒーローインタビューでこう声を弾ませた。
この試合にしっかり照準を合わせてきた。「これまで不安はあったけど、しっかり仕上がってきました。準備はできた」。言葉通りに立ち上がりから、安定感抜群の投球を披露した。初回。先頭崔暁をスライダーで空振り三振に。この回を3者凡退で抑えてリズムに乗った。
三回まで無安打投球。四回1死から李磊に左中間二塁打を浴びたが、レイ・チャンを三ゴロ、チョ夫佳はこの試合の最速タイとなる146キロ直球で空振り三振に仕留めた。五回も3者凡退でお役ご免。ベンチに戻ると、笑顔で汗をぬぐった。
代表候補合宿中は右肩の張りが取れず、焦りがあった。念願の代表入りを果たし、早めの調整を心掛けたことで肩に疲労がたまった。だが合宿では球団トレーナーを帯同させ、入念なマッサージを施し、肩の疲労除去に努めたことで状態が上がってきた。
前夜は日本のエースで同級生の田中が2回1失点降板、杉内、摂津も打たれた。投手陣の負の連鎖を止める好投に山本監督は、「心配させといて投げるたびに良くなってきた」と目を細めた。
ひと仕事を終えたマエケンだが、2次ラウンド、決勝トーナメントそしてカープの開幕と登板は続く。「何球か抜け球があったので、次は修正していきたい」。好結果を残す一方、反省も忘れない背番号20。もう不安など微塵(みじん)もない。