中田V犠飛…侍ド執念逆転で決勝T王手

 「WBC・2次ラウンド1組1回戦、台湾3‐4日本」(8日、東京ド)

 侍ジャパンが底力をみせて、決勝トーナメント進出に「王手」をかけた。終盤に2度、劣勢を追いついて延長突入。そして最後は日本ハム・中田翔外野手(23)が勝ち越し犠飛を放って、死闘劇に終止符を打った。崖っぷちに追い込まれながら、その度に粘り強くはね返した侍戦士たち。次戦は10日のオランダ戦。この勢いで一気にアメリカ行きを決める。

 球史に残る死闘。国と国の威信をかけた、魂のどつき合い。侍の意地と執念が、わずかに台湾を上回った。「ベンチ全員で戦った。本当にすごいゲーム。勝って良かった」。割れんばかりの“浩二コール”に、山本監督の瞳は潤んでいた。

 まさに、全員野球。決めたのは中田だった。同点の十回、途中出場の相川が右前打で口火を切った。糸井が四球でつなぐ。坂本はきっちりと送り、1死二、三塁の好機を作った。「おいしい場面が来たなと思って、打て!」。打席に向かう野手最年少に、主将の阿部がささやいた。

 「チャンスを回してくれる先輩がいて…。阿部さんの言葉で気持ちが楽になった」と中田。低めのボールを気持ちですくい上げた打球は、値千金の左犠飛。ついに、勝ち越しに成功した。

 絶望のふちから、何度もはい上がった。1点を追う九回、2死二塁。打席には井端。初戦ブラジル戦でも殊勲打を放ったベテランが、またも日本を救った。同点の中前適時打。指揮官は「日本中のファンのみなさまが、“井端さまさま”と思っている」と、背番号3の肩をもんだ。

 2点を追う八回には井端、内川の連打から好機を作り、4番の阿部が今大会初安打となる右前適時打。さらに6番の坂本も遊撃への適時内野安打で続いた。不調に苦しんでいた二人が底力をみせ、試合を振り出しに戻した。

 終盤まで、苦しい戦いを強いられた。難敵の王建民攻略へ、不調の長野を先発から外し、1番に角中を抜てき。三塁に鳥谷を起用するなど、スタメンに5人の左打者を並べた。一回には出塁した井端が次打者の初球に、内川は次打者の2球目に盗塁を仕掛けるなど、足技で王を揺さぶった。

 だが、6日のキューバ戦と同じく、あと一本が出ない。七回まで5度も得点圏に走者を進めながら、ホームを踏めず。超満員にふくれあがった東京ドームに、ため息がこだました。指揮官は「台湾は手ごわかった」と振り返ったが、初戦のブラジル戦と同じく、八回から底力を発揮した。

 侍魂を結集させてつかんだ勝利。10日のオランダ戦に勝てば、最低目標に掲げていた決勝ラウンド進出となる。勢いに乗り、一気に決める。

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