阿部人生初1イニング2発!浩二さん男に
「WBC・2次ラウンド1組1位決定戦、日本10‐6オランダ」(12日、東京ド)
2次ラウンド1組の1位決定戦が行われ、日本が巨人・阿部慎之助捕手(33)の「1イニング2本塁打」などで二回に一挙8点を挙げて逆転勝ちし、同組1位となった。巨人・長野久義外野手(28)も2安打5打点と奮闘した。また東京ラウンドのMVPに中日・井端弘和内野手(37)が選ばれた。日本は試合後、決勝トーナメントが開催される米サンフランシスコへと向かった。2次ラウンド2組の2位チームとの準決勝は17日(日本時間18日)に行われる。
主役のお目覚めだ。打撃の状態が上がらなかった主将のド派手な復活弾。待ってました!!と思っていたら、同じイニングにまたまたアーチが飛び出した。これが阿部。侍ジャパンの4番だ。万雷の拍手舞うヒーローインタビュー。「ああいう経験は初めてなので…サイコーです!!」。最高の笑顔がはじけた。
1点を追う二回。まずは先頭で魅せた。追い込まれてから3球連続ファウルで粘り、最後は高め直球を仕留めた。右翼席に突き刺さる同点アーチ。ここで終わらないのだから、千両役者はやることが違う。
阿部に乗せられた侍たちは打者一巡の猛攻。再び4番に打席が巡る。2死一、三塁。今度は技ありの1発だ。低めのカーブを崩されながら拾い上げる。高々と上がった打球は右翼席最前列にギリギリに飛び込んだ。人生初の1イニング2本塁打だった。
安田学園高3年だった96年、アマ選手としてアトランタ五輪に出場していた1学年上の福留に目を奪われた。「1つしか違わないのに出れるんだ、いいなぁ、オレもオリンピックに出てみたいなぁって」。日の丸にあこがれた男は時を経て、侍たちの中心となった。
だが、ここまで打撃に苦しんできた。1次ラウンドは無安打。主砲に影響されるように打線全体も湿った。橋上戦略コーチは「去年の春先の巨人にカブる。選手に状態を上げてもらうしかない」。昨年の巨人は、極度の貧打で4月に2度の5連敗を経験。それでも最後には頂点に立った。どん底からのはい上がり方は知っている。
10日のオランダ戦で3安打し、調子は上がりつつあった。試合前にはポール間のダッシュを繰り返し、体の切れを取り戻すために必死だった。フリー打撃では看板直撃弾を放つなど、爆発の予兆は十分にあったといえる。
「選手一丸になって、とにかく優勝。浩二さんを絶対に男にしたいと思います!!」。最後はこう雄たけびを上げた。さあ、いざアメリカ。3連覇の偉業を必ず手土産にする。