中田“翔激弾”メジャーファンどよめく
「WBC強化試合、カブス7-5日本」(15日、メサ)
日本代表は15日(日本時間16日)、米アリゾナ州メサでカブスと練習試合を行い、5‐7で敗れた。二回に中田翔外野手(23)=日本ハム=が左翼席に豪快アーチを突き刺すなど、2試合連続猛打賞の大暴れ。三回には坂本の2ランなどで3点を奪い逆転したが、九回に今村がサヨナラ2ランを浴びた。日本は試合後、17日(日本時間18日)の準決勝の舞台となるサンフランシスコへ乗り込んだ。
豪快に振り抜いた。二回、魅せたのは中田だ。左腕ウッドの直球を捉えた打球が高い放物線を描く。メジャーファンからもどよめきが起こる特大弾を左翼席へ突き刺した。「自分のスイングができたからこそ、長打が打てたんだと僕は思います」。悠然とダイヤモンドを一周した。
本大会前の実戦も含め、侍戦士としての初アーチ。1、2次ラウンド通算で18打数6安打の打率・333と数字上の結果は残したが、すべて単打だった。「長打が出る気がしない」と悩みも口にしていた長距離砲にとって、待望の一発だった。
長打に飢え、足を上げる昨年の打撃フォームに戻したのは12日のオランダ戦。早くも追い求めていた結果を手にしたが、一発に満足することなく、六回と九回にも中前打を放った。前日のジャイアンツ戦に続き、またも3安打の固め打ちだ。
昨季の打率は・239。確実性のアップが中田の課題だった。宮崎合宿から立浪打撃コーチの助言ですり足打法を取り入れ、体が前に突っ込む悪癖を修正。連日、居残り特打に励み、安定感を優先させた打撃フォームを体に染み込ませた。
立浪コーチの承諾を得て昨年の打撃フォームに戻したが、中田は「すり足をしていたおかげで前に突っ込む癖も少しはましになってきた」と実感。立浪コーチも「だいぶ上体が前に行かなくなった」と成長を認めた。
試合後、チームは決戦の舞台となるサンフランシスコへ移動した。会場となるジャイアンツの本拠地「AT&Tパーク」は右翼が94・2メートルなのに対し、左翼は103・3メートルと広い。しかも、左翼付近は逆風が吹くことで知られる。それでも、立浪コーチは「(一発は)難しいとは思うんですけど、今の状態を見れば非常に期待できる」とうなずいた。
中田は準決勝へ向けて「野手では最年少なんで思い切りの良さをどんどんアピールしていきたい」と意気込んだ。一振りで試合の流れを変えられる恐怖の7番。日本にとっては、頼もしい存在となりそうだ。