鳥谷に託した!「1番」で3連覇王手へ
「WBC準決勝、日本‐プエルトリコ」(17日、サンフランシスコ)
日本代表が16日(日本時間17日)、準決勝のプエルトリコ戦に向けてAT&Tパークで前日練習を行った。「1番・二塁」で出場予定の鳥谷敬内野手(31)=阪神=は、他の選手らと同様にフリー打撃などで汗を流した。負けたら終わりの重要な一戦。決勝トーナメント進出の原動力となった男が、日本を決勝へと導く。
カクテル光線に照らされ、背番号「1」が軽快に揺れる。決戦の地の空気を体になじませるように、精力的に動いた。負けたら終わり。勝てば3連覇に王手。プエルトリコとの勝負の一戦で、1番に入るのは鳥谷だ。自身の力で築き上げた居場所で、再びチームに勢いをもたらす。
「(気持ちは)全然普通。(相手投手の映像は)まだ見てないので、ミーティングをして準備していきたい」
短い言葉に決意を込めた。妙な気持ちの高ぶりもなく自然体で臨む。立浪打撃コーチが「1番は鳥谷から始まると思います」と予告したように、首脳陣からの信頼は厚い。それもここまでの活躍があったからこそだ。
2次ラウンド初戦の台湾戦では、1点を追う九回2死一塁から二盗に成功。続く井端の同点打を呼び込み、勝利につないだ。さらに2戦目のオランダ戦では初めて1番でスタメン出場すると、先頭打者アーチでチームに流れを呼び込んだ。
1番としての役割に関して、常に話すのは「ランナーがいればかえすし、いなければ出塁する」ということ。得点機の勝負強い打撃はもちろん、自身の出塁が得点を奪う上でいかに重要であるかも分かっている。
「今、阿部の調子がいいし後ろが大事になる。ジャイアンツ、ジャイアンツでね。勇人(坂本)が非常にいい。稲葉も中田も調子がいい」と立浪コーチ。クリーンアップの状態に手応えを感じるからこそ、鳥谷の出塁からチャンスが生まれることに、期待がかかる。
この日は二塁での守備練習や、打撃練習では右翼席への柵越えや右中間に鋭い打球を放った。AT&Tパークは右中間が深いため、そこに打球が伸びれば得点につながる可能性が高い。「予行演習」は万全だ。
山本監督は「打線の方はつながりが出て、2試合の強化試合もいい形でとれた。今までと同じで日本の野球をすることが大事。みんな状態は上がっている」と手応えを口にした。好調の打線にいかに火をつけるか。鳥谷のバットがファイナルにつながる扉をこじ開ける。