甲斐に「勉強しないといけない」と言わしめた大谷の投球術 スライダー駆使の理由は?女房役が明かす
「カーネクスト 2023 WBC1次ラウンド 東京プール、日本代表8-1中国代表」(9日、東京ドーム)
先発した大谷翔平投手(28)は4回無失点と好投。スライダーを中心に組み立てた配球に対して、女房役の甲斐は「翔平の力に引っ張ってもらった」と率直に明かした。
初回、先頭のリャンをカウント1-2と追い込んで迎えた4球目。大谷は甲斐の要求に対して首を振り、スライダーを選択した。結果的に浮いてボールとなったが、同じ球種を2球続けて最後は三振。さらに2死から右打者の真砂は初球の内角スライダーに思わず体をのけぞらせるなど、相手は“見えていない”“対応できていない”と感じさせた。
「試合前に自分でスライダーを投げ分けると言っていたので。右バッターは(内角に投げられて)足を引くような球。ああいった曲がりはないので。それだけのボール」と語った甲斐。ホップするスライダー、タテのスライダー、小さく曲がるカット系などを投げ分け、右打者の懐からストライクゾーンに飛び込むインスラ、左打者の外角から入ってくるバックドアとコントロールも駆使し、中国打線を寄せ付けなかった。
そして大谷が4イニングを抑えたという事実だけでなく「一発勝負の中で、ああいう投球は後に出てくるピッチャーにも、もちろん効いてきますし。捕手として、勉強していかないといけないなと思いました」。大谷が全力で160キロ近くを投げれば、どうしても速球派がそろうリリーフ投手に相手の目が慣れてしまう。
そこまで計算してか、変化球主体でストライクを先行させ、4イニングを投げ抜いた大谷。2番手の戸郷は直球とフォーク主体で3回を1失点に抑えた。3番手の湯浅も直球で押し込み、圧巻の3者連続三振。最後はキレのある直球で伊藤が締めた。
後に続くピッチャーのことも考え、日本の捕手では最も経験値が高いと言える甲斐に「勉強していかないといけないと思いました」と言わしめた大谷の投球術。吉井投手コーチも「変化球はもともと上手に投げていましたけど、より精度が上がって、言いづらいですけど、良い投手ですね」と目を細めた。単に注目される球速だけでなく、メジャーで規定投球回数をクリアし、2桁勝てる投球術を日本のファンにまざまざと見せつけた。