侍・大谷 二刀流新伝説“快幕” 4回0封!2安打2打点 フェン直打「もう少しだった」

 気迫の投球で4回無失点に抑えた大谷(撮影・吉澤敬太)
 4回、2点適時二塁打を放つ大谷(撮影・棚橋慶太)
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 「カーネクスト 2023 WBC1次ラウンド 東京プール、日本代表8-1中国代表」(9日、東京ドーム)

 「カーネクスト2023 WBC1次リーグ東京プール」が9日、東京ドームで開幕した。B組の野球日本代表「侍ジャパン」は初戦の中国戦に臨み、8-1で勝利。「3番・投手兼指名打者(DH)」で先発した大谷翔平投手(28)は4回を無失点、四回には2点適時打も放った。日本は中国の後、韓国、チェコ、オーストラリアと対戦し、上位2チームに入れば準々決勝でA組上位と対戦する。

 全身で受ける大歓声が心地よかった。それでも大谷は、ちゃめっ気たっぷりにいたずらっ子の顔をのぞかせた。「これだけ遅くまで残っていただいて感謝しています。でも、まだまだ声援は足りないので」。4回0封に、2安打2打点と投打で躍動。二刀流の新伝説が今、ここに誕生した。

 超満員のスタンドが、異様なまでの静けさを生み出した。丁寧に投げ込む投球を固唾(かたず)をのんで見つめ、直後に湧き上がる大歓声。「僕自身特別ですし、ゼロで抑えるつもりだった」と位置づけた“開幕戦”で、スタンドの「静」と「動」が鮮やかな色で快投を染め上げた。

 注目の初球。ボールにはなったが、157キロの速球が甲斐のミットに甲高い音を奏でる。待ちわびたその瞬間。大谷がマウンドで“SHO TIME”の開演だ。三者凡退で立ち上がると、甲斐とグータッチ。ギアが上がった。二回もテンポよくアウトを刻むと、5番のレイ・チャンへの3球目には160キロを計測。球速が出る前から、どよめきに包まれ、最後は4回をわずか1安打に封じ、5奪三振の圧巻投球を見せた。

 これだけではない。白球をバットに持ち替えて打席へ。四回には「もう少しでホームランだった」と笑う左翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。国際大会で見せた二刀流の偉業。仲間と歩む世界一奪還への道のりが、大谷の誇りだ。

 投手の仮面を脱げば、守備を終えた仲間を最前列まで迎えに行く。戸郷の頭をたたき、湯浅には「よっしゃー!」と声をかける。そして、気にかけ続けたヌートバーの躍動に誰よりも喜んだ。

 同級生の友、鈴木から託された仲間だ。味方の得点時にはハイタッチの列に呼び、決起集会の席では「キョウダイ」の日本語を教えた。「個」で状態を上げながら、「全」で目指す頂点。この日も初回に日の丸のリードオフマンの快音から先制点は生まれ、三回には好守に救われた。

 マウンド上に届いたエールを、力に変えた49球。「明日は先発がダルビッシュさんなので、何とか援護できるように頑張りたい」。大谷伝説がついに、幕を開けた。

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