侍・佐々木朗希 宿命の「3・11」出陣 9歳時に陸前高田市で被災「チームのために」
「カーネクスト 2023 WBC1次ラウンド 東京プール、日本代表13-4韓国代表」(10日、東京ドーム)
特別な意味を持つ試合の登板前日でも、佐々木朗は自然体だった。いつもと変わらず宮城とのキャッチボールで最終調整。戦う準備は整った。忘れるはずがない「3・11」に、日の丸を背負ってチェコ戦のマウンドに立つ。
「チームのために自分ができることをやるだけかなと思います」
12年前の2011年3月11日、東日本大震災に遭った。当時9歳。岩手県の陸前高田市で暮らしていたが津波で実家が流され、最愛の父・功太さんと祖父母がこの世を去った。幼き日に刻まれた悲しい記憶だ。
同県の大船渡市に移住することになり、大船渡高では最速163キロをマークしたことなどから「令和の怪物」と形容される投手に成長した。20年度ドラフト1位でロッテに入団。昨季は完全試合を達成するなど、今や誰もがその右腕に夢を見る。
4日の壮行試合・中日戦では自己最速となる165キロを計測した。その進化はとどまることを知らない。韓国戦の試合前セレモニーで登場した時は、スタンドから割れんばかりの大歓声が響き渡った。その大観衆の声が、マウンドで力に変わる。「勝つことがすごい大事なので」。最高の侍戦士たちとともに、勝利をつかみ取る。