急降下の緒方鯉、それでも大丈夫!!な理由

 開幕戦で敗れて以降、破竹の10連勝でセ・リーグの首位を快走していた緒方カープが先週、急停車を余儀なくされた。下位のDeNA、ヤクルト相手にまさかの2勝4敗と、2カード連続負け越し(通算3カード連続)。6連戦の初戦(18日・マツダ)を会沢の劇打でサヨナラ勝ちしていい流れで入ったものの、投打のバランスが崩れて今季初の4連敗。23日のヤクルト(6)戦(神宮)は逆転勝ちして連敗を止めはしたが、一時の勢いは完全に失った。

 先週の6連戦で言えるのは、先取点を奪われてそのまま押し切られるケースが目立ったということ。先制したのは23日の試合だけで、それとて3点を取った後、一時は逆転されて最後にどうにか追いつき、追い越したもの。昨年から“逆転の鯉”と言われて久しいが、先週に限れば4連敗中は先取点を奪われたら「ハイ、おしまい!!」という形で黒星を重ねた。確かに開幕から20試合前後で選手にも疲れが見え始める頃。10連勝の反動が来たと言えなくもない。

 昨年は夏場までなかった大連敗(昨年は4連敗が最多)をもうこの時期に経験したことで「本当に大丈夫?」と不安がるファンも多少はいると思う。だが、試合自体は決して悪くはない。18日(DeNA(1)戦・マツダ)の野村以降、先発投手は悪いなりにもそれなりに責任を果たしていたし、大崩れはしなかった。最後の九里は五回途中で降板したが、それとて投球内容自体がどうしようもなかったわけではなかった。逃げずに打者の内角を攻める意識は出ていたし、その九里を救った中継ぎ陣の投球も見事だった。中田、薮田などは開幕からずっと好調を維持できている。抑えの中崎不在の中、彼らの仕事ぶりは称賛に値する。

 そんな中、一つ触れておきたいのが、ドラフト1位ルーキー・加藤について。14日(金)の阪神(4)戦(甲子園)で8四球で今季初黒星を喫したのに続き、21日(金)のヤクルト(4)戦(神宮)でも6回を5四球3失点と乱れ、連敗を喫した。これをどう評価するか。開幕投手を任されたジョンソンが体調不良で不在の中、代役の形で先発ローテーションに入り、ここまで3戦、不安定な面を見せつつ先発としての役割は果たしている。口数が少なく、仏頂面な表情からマスコミ受けしていないところはあるが、私は十分やっていると思う。緒方監督が試合後厳しいコメントをしているのも、彼に対する期待の表れだと受け止めている。制球難の短所を責めるより、タフで力強い球を投げ続けられるという長所を伸ばしてやろうというベンチの意図が随所に見てとれるからだ。

 私がルーキー当時、バックを守っていた遊撃・野村謙二郎さんや二塁・正田耕三さんの“厳しい目”に育てられた部分があった。ムダな四球を出そうものなら、露骨に嫌な顔をされたこともあり、それがいい勉強材料となったことを覚えている。ただ今のバックはすごく寛容。みんな加藤の長所を分かっているのだろう。はっきり言って、今の加藤は一人相撲をとっている。「周りの野手に助けられているんだ」という意識になれば、少しは制球力も改善されるだろうし、もっと安定感が増すに違いない。発展途上のルーキーには1戦1戦が勉強なのだ。

 ともあれ、チームの勢いが完全に失われた6連戦を2つの借金で終わらせたのは大きい。あす25日からは巨人、DeNAとの6連戦。何より「先取点を奪うこと」だ。たかだか4連敗したことで慌てる必要など全くない。ただ、点が取りにくくなっているのだから、戦い方自体は考える必要があるかもしれない。普段はやらない「序盤のバント」も場合によってはあり、ではないか。今週は『逃げ切りのカープ』が見たい。

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