福井再生には「我慢」と「忍耐」が不可欠
優勝へのマジックが再点灯した先週(15~20日)も緒方カープは手堅い戦いぶりを見せた。6連戦の初めは2位・阪神に対して2勝1敗と勝ち越し、続くヤクルト3連戦も20日の劇的な延長サヨナラ勝ちでどうにか2カード連続勝ち越しを決めた。阪神が中日を3タテしたことでマジックの減り具合が遅いが、結果だけを見れば順調と言える。
そんな中、個人的に気になったのは「先発投手の出来」である。阪神戦の野村、大瀬良、福井、そしてヤクルト戦の中村祐、薮田、岡田。この6人の中で一番長いイニングを投げたのは20日(ヤクルト20回戦=マツダ)の岡田で7回。あとの5人は5回から6回でマウンドを降りている。カープの勝ちパターンである一岡、中崎、今村の救援陣が頑張ったおかげで4勝2敗という数字にはなったが、やはり先発陣には「もう1イニング」長く投げてほしい。もちろん打線との兼ね合いはあるが、相手に先取点をやらなければ中盤の勝負所での交代はない。夏場の一番苦しい時期だけに、彼らにはより一層の奮起を期待したい。
特に、投手陣最年長の福井に言いたい。今の不振を脱するのは『我慢』と『辛抱』だぞ、と。11日の巨人18回戦(マツダ)に続き、17日の阪神20回戦(京セラ)も下位打者への四球が引き金になって崩れた。しかも投手・岩田に2打席連続四球を与えて失点、結果的に5回4失点でマウンドに降りた。2年前の2015年に131・1回を投げて自己最多の9勝を挙げ、一皮むけた印象を受けたが、ここ2年はまた“逆戻り”した感がある。「1点もやりたくない!」という気持ちはわかるが、それが表に出過ぎて空回りしている。
2軍でも若い野手がミスすると露骨に表情に出してしまうと聞く。投手は一様に“我”が強い人種ではあるが、一流になればなるほどその感情を自分なりにうまくコントロールできる。今の福井に必要なのは、己の感情を内に抑え込む忍耐力だろう。自分よりも年下の薮田や岡田、それに中村祐にも後れを取ってしまった現状は実に厳しい。本人も辛いとは思う。しかし、今一度自分本来の姿を取り戻すには、冷静に現状を見つめ直すのが先決。技術的な問題では決してない。
その福井が崩れた阪神戦では、最後に登板した中田が福留にサヨナラ犠飛を打たれ、さらに薮田が今季3敗目を喫したヤクルト19回戦(マツダ)でも1死満塁の場面で火消しに出て山田に痛恨の満弾を浴びた。先週の2敗に関わった中田の精神的なケアは絶対に必要で、ここが崩落してしまうと勝利の方程式全体に影響を及ぼす。打線も現状は決していい状態ではない。マジック「24」とゴールは見えているものの、当然まだヤマはある。22日からのDeNA3連戦(横浜)は敵地だけにより厳しい戦いが予想される。再度言うが、野村、大瀬良は先取点をやらず、1イニングでも長くハマのマウンドで踏ん張ってほしい。