ビジター6連戦のカギを握る男・ジョンソン
まさに“地獄の1週間”だったと言える。先週(8月22~27日)の緒方カープは3試合連続サヨナラ負けという衝撃的なDeNA戦に加え、打線の大黒柱的な存在だった4番・鈴木が右足首の骨折で長期離脱を余儀なくされた。地元マツダに戻って連勝し、ホッと一息ついたものの、6連戦の最後は岡田の大乱調で中日戦の“スイープ”に失敗。結局2勝4敗の負け越しで1週間を終えた。優勝へのマジックは「19」に減ったものの、失ったものもまた大きかったように思う。
痛かったのは言うまでもなく6連戦初戦のDeNA18回戦(横浜)。先発・野村が好投し、打線も八回まで5点を挙げ、完全な広島ペースだった。八回を終わった時点で野村の球数は100球に満たず、今季初の完投勝利が目前だったのだが、九回先頭・柴田に右前打を許した後、そこまで完璧に抑えてきた筒香に手痛い2ランを浴びて降板。代わった今村がロペス、宮崎に連続被弾し、まさかのサヨナラ負けになった。
連戦の頭で救援陣に疲労が見え始めていたことと、野村の少ない投球数を考え、広島ベンチは九回も続投させたのだろうが、結果は裏目に出た。この判断については間違っていないとは思うが、今村を準備させていたのであれば最初から使うべきではなかったか。理想的な展開で勝ちパターンに入っていたけに、あの3点差をひっくり返されたサヨナラ負けは痛かった。翌日の2戦目は大瀬良が5点のリードがありながら五回も持たずKOされ、挙げ句の果てには中崎、中田が打たれて敗戦。3戦目は先発・中村祐が7回3失点と踏ん張りはしたものの、一岡、中崎が持ちこたえられなかった。ここまで頑張ってきた救援陣が総崩れしての3連続サヨナラ負けは、今季の緒方カープの根幹を大きく揺るがす衝撃的敗戦だった。
これに加えて鈴木の離脱だからたとえマジックが「20」を切ったとはいえ、決して楽観視はできない。29日から始まる巨人、ヤクルトとのビジター6連戦が最後の試練になるが、ここはやはり先発陣に奮起を促すしかない。そのカギを握るのは25日の中日19回戦(マツダ)で復帰し、8回無失点だったジョンソン。9月1日(金)のヤクルト21回戦(神宮)での先発が濃厚で、勝利はもちろんのこと、完投に近い形の投球が求められる。ケガから復帰して2戦目で完全には信用できない面もあるのは確か。しかし、2度の戦線離脱でチームに貢献できなかった以上、ここでやってもらうしかない。その前の巨人3連戦に先発する野村、大瀬良、中村祐の3人も死力を尽くしてやってもらいたい。DeNA戦で受けた屈辱をG倒で晴らせばチームは再び勢い付く。再び彼らが炎上となれば、それこそジョンソンが“歯止め”の役割を果たさないといけない。左腕には今季の全てをかけて臨んでほしい。
ともかく、連覇に向け最大にして最後の試練は総力で乗り切るしかない。緒方監督も腹をくくった采配をするはず。ビジター6連戦を五分で終われば、その先にゴールは見えてくる。