最終戦KOの岡田が残した重く大きな課題
1日のDeNA25回戦(横浜)で、緒方カープは今季の公式戦日程を終了した。勝って『完全優勝』を達成してほしかったところだが、ポストシーズン用の戦い方をしている以上、負けること自体は何ら問題はない。昨年より1勝少ないもいのの、88勝(51敗4分)で球団最高勝率を更新したということは、大いに賛えられるべきだし、選手は胸を張っていい。
リーグ連覇を決めて以降の数試合で、緒方監督はCS(クライマックス・シリーズ)を通り越し、パ王者との日本シリーズを想定した選手起用をしてきた。その中で、メヒアや高卒ルーキーの坂倉などがそれなりに結果を出すなど、今季より来年以降に活躍が期待される選手たちの躍動が見られた。そうしながらポストシーズンで使える選手、使えない選手の見極めを行ってきたわけだが、最終戦までに大方選別ができたと思う。先発投手は薮田、野村、ジョンソンの3枚に加えて大瀬良でほぼ決まり。外国人選手はジョンソン、ジャクソン、バティスタにエルドレッドの4人。これはほぼ順当な線だろう。
私個人が最も注目していたのが、最終戦に先発した岡田のピッチングだった。優勝決定以降、登録を抹消されて2軍で“ミニキャンプ”的な調整を続けてきた。十分間隔を開け、リフレッシュされた状態で戻ってきたにもかかわらず、3回7失点で降板。しかも、投手のウィーランドに逆転3ランを含む2安打4打点という大サービスをしてしまったのだから、緒方監督が怒るのも無理はない。2年連続二桁勝利の可能性があった野村を登板させず、あえて岡田を試した首脳陣の思惑は外れ、個人的に“岡田押し”だった私の期待も大きく裏切られた。本当に残念で仕方ならない。
ストレートの威力はチームでもピカイチで、はまった時の爆発力はリーグ有数だと思っている。ただ、同居する「精神面の脆さ」が岡田の行く手を大きく阻んでいる気がしてならない。立ち上がり、1死後に四球を与え、ロペスに先制2ランを浴びた。この2年連続CS進出に燃えるDeNAのムードに飲まれてしまい、頭の中が真っ白になってしまった。結局、我を失ったまま、修正がきかずにマウンドを降りるはめになった。この試合がどんな意味を持つのか、自分で整理してマウンドに上がれていたのかどうか。野村の2桁もあった試合だけに、岡田にはそれ相応の覚悟を持って上がり、そして結果を出してほしかった。
この結果でCS登板の可能性は限りなく低くなった。それはともかく、リーグ3連覇がかかる来季に関しても不安が残った。今季は2年目で初の2桁12勝を挙げたものの、開幕2戦目が4回KO、そして最終戦も3回KOと「初めと終わり」でミソをつけてしまった。最後をいい形で終えることができたなら、この秋から来春にかけてより一層パワーアップし、3年目のシーズンを迎えられたはずなのに…。ともかく、岡田に関して言えば技術的なことよりメンタルが問題。調子が悪い時でも試合の中で修正できるようにならなければ、また同じ失敗を繰り返すことになる。
まだリーグの全日程は終わっていないが、2位・阪神、3位・DeNAという順番は確定した。圧倒的な戦力を持っていた巨人が脱落したのをどう考えるか。広島サイドで考えた場合、3球団のどれがファイナルにできてきても同じだろうが、唯一広島に勝ち越したDeNAは「互角に戦える」と自信を持ってくるに違いない。個人的にもDeNAの方が嫌だが、その前に広島はこの約3週間でしっかり態勢を整えることが大事。大目標はCSを勝ち抜いた後にあるのだから。