日本S進出へ緒方カープがなすべきこと
パ・リーグではシーズン優勝のソフトバンクが連敗後の3連勝で一足早く日本シリーズ出場を決めた。初戦、2戦目までは楽天投手陣に苦しめられたソフト打線だったが、4番・内川を中心に3戦目でようやく息を吹き返し、さらに勝ち抜けを決めた5戦目には故障でリタイア中だった柳田を電撃的にスタメン出場させ、圧勝で追いすがる楽天を退けた。最後は地力に優るソフトの貫禄勝ちで“円満決着”になった。
一方のセ覇者・緒方カープは、18日の初戦こそCS史上初となる5回降雨コールド勝ちでアドバンテージを含めた対戦成績を2勝0敗としたものの、決して楽観視できるような内容ではなかった。四回まではDeNA先発・石田の前に無安打に封じ込められ、チーム初安打が出たのは五回になってから。翌19日の第2戦もルーキー・浜口に苦しみ、3戦目は井納からの継投の前に完封負け。采配云々の前に、打線そのものが全く機能しなかった。特に対照的だったのはロペス、宮崎が好調なDeNAに対し、カープの中軸・丸と松山が完全にブレーキ。共にここまで1安打のみと鳴りを潜めている。シーズンで勝負強いバッティングを見せていた2人が復活しない限り、得点は見込めない。
リーグ連覇を決めたのが9月18日で、CSファイナルが始まるまでちょうど1カ月間のブランクがあった。10月1日に全日程が終了して以降は社会人チームと3試合練習試合を行って調整を続けてきたが、実力が全く違い、しかも本気度が天と地の社会人投手を相手にしても「CS対策」になろうはずがない。この間、DeNA、楽天のセ・パ3位チームは共に2位チームを撃破し、戦意を高めてファイナルに乗り込んできた。その勢いの前に“調整期間”が長すぎた1位チームは苦戦した。それが現状ではないだろうか。
それでもソフトバンクは力強く勝ち抜けた。今度はカープが続く番だ。20日の3戦目に敗れてから、台風21号の影響で2日連続で雨天中止になったが、これはカープにとってラッキーだった。通常の日程なら、DeNAが今永、ウィーランドという“表”の2枚が出てくるのに対し、カープは“裏”の大瀬良、中村祐に託さざるを得なかった。ところがこの雨できょう23日が初戦の勝ち投手・薮田、そして明日24日が野村、そして25日の最終戦にずれ込んだらジョンソンという“表”で応戦できるようになった。なによりDeNAの勢いが雨でストップしたことが大きい。たとえ薮田で落として王手をかけられても、慌てることはない。地に足をつけたカープの野球さえすれば連勝は十分可能だ。
エルドレッドが故障でリタイアした一方で、リーグ優勝を決めた試合で右足を負傷していた安部が戻ってきた。小回りの利く安部が帰ってきたのは朗報で、カープ本来の機動力を活かした攻撃ができるはず。ここまで3戦、一度も起用されていない“足のスペシャリスト”野間もさすがに出番があるだろう。きょうからの戦いは「ベンチの動き」も重要になってくる。緒方監督の思いきった采配に期待したいし、選手は恐れることなく自分たちのプレーに徹してほしい。