聖地に残りもの
【My リポート・鈴木健之、夏木盛太】聖地に残りもの少なからず 茨城県・下妻市砂沼
砂沼(さぬま)では過日、「ヘラブナ祭り」と銘打って、オール舟釣りによる競技会が開催された。参加者百数十人、筑波山を望む周囲約8キロの水上は賑(にぎ)わい、熱気に包まれた。 年1回、5月に行う催しで、今年で52回目。半世紀を超える歴史とともに風物詩になっている。魚影は安定しているうえに、木製の和舟で情緒がある。ここで腕を磨き思い出を作ったヘラ師は数多い。 ヘラ釣り場の聖地。釣行日は断続的に強い風で、舟釣りの予定を陸(おか)っ張りに変更。下沼の西側、通称、円福寺下のポイントに釣り台を置く。この沼は中央に架かる砂沼大橋を境に便宜上、上沼、下沼と呼ばれている。先着者に聞くと「日並みが良くない割りにはウキが動き、朝5時半から約3時間でヘラ2、半ベラ1」とのこと。無理を承知で舟釣りをしている人もいるが、風の合間に竿が上がっている様子。気象は季節はずれの乱れを見せているが、魚は順応しているらしい。 試釣の結果は15時納竿、約7時間の釣りでヘラは2匹。長竿(21尺)で長時間粘れたのは半ベラ、マブナなど外道のアタリに誘われたため。正体不明も底バラシが3度あった。 乗っ込みは大筋では終わっているが、残りもの少なからずが、この沼の特徴。体力を回復した早期産卵組が加わって、意外な大釣りに恵まれることがある。 ただポイントの絞り込みは難しい。名称は沼でも湖の規模。水深1~6メートルで底が砂地、土砂、小石、岩盤、ヘドロと変化に富むうえに、例えばA級ポイントとされる寺下や神社前にしても、それ自体が広範囲だからだ。各所にあるオダも、こだわり過ぎると失敗する。 使用竿は舟で12~18尺、陸で18尺以上。エサは日並みにもよるが、グルテンセットが基本。食い渋ったときは段差のドボンを試してみたい。例年、梅雨に向かっては堅調。だが沼は農業用優先で、その需要で減水しているときは苦戦を強いられる。魚は中型でも二枚、三枚腰の粘りが特長、5匹ほどで十分満足できる。ちなみに冒頭で紹介した「-祭り」の結果は優勝が8・1キロ、大型賞は41・5センチだった。 〈ガイド〉入漁料=300円、舟代=2000円▽場所=市内新町(国道125号至近)▽問い合わせ=内山貸舟店TEL0296・44・4625。