内柴被告、涙の無罪主張 来年2月判決
指導していた大学の女子部員を乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われている柔道のアテネ、北京五輪男子66キロ級金メダリストの内柴正人被告(34)の第8回公判が27日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)で開かれ、弁護側は最終弁論で改めて無罪を主張し、結審した。最後に証言台に立った内柴被告は、涙ながらに無罪を訴えた。検察側は26日の論告で、被告の供述の不合理を指摘し、懲役5年を求刑した。判決は来年2月1日に下される。
約2時間に及んだ最終弁論。「内柴さんは…無罪です」という弁護士の溜(た)めの利いた最後の言葉を聞き終えると、内柴被告は沸き上がる感情を抑えきれなくなった。最後に証言台に立つと、「ちょっと待って下さい」と目頭を押さえ、涙を拭った。そして、逮捕からの1年間を語り始めた。
裁判では事件当日、被害部員だけでなく、別の女性部員とも性行為に及んでいたことなどが明らかになったが、「去年初めて弁護士事務所に入った時に、弁護士と検察官、この2つの人種には絶対にうそはつかないと決めた。だから何度も恥ずかしい話をしたけど、うそをつかないで良かったなと、今日(最終弁論を)読んでもらってあらためて思っている」と、胸を張った。
そして「強く自分が無罪だということを確信しました。判決で初めて自由になると思って、拘置所にいようと思います。1年間ありがとうございました」と無罪を主張すると、柔道家としてのプライドか、裁判官、検察、弁護士、傍聴席と4度、礼をして退廷した。
弁護側は最終弁論で被害女性がホテルでの被害時に、部屋を訪れた別の部員に助けを求めなかったと指摘。翌朝も7時間以上、被告と一緒に過ごすなど「2人は親密な間柄だった」とした上で、「交際相手に被告と同意して性交したことを隠すため、女子部員が事件を捏造(ねつぞう)した」と、主張を展開した。金メダリストの性倫理感にスポットが当てられた前代未聞の裁判は、来年2月1日に判決が下される。