全柔連理事が女子選手にワイセツ行為か
不祥事が相次ぐ全日本柔道連盟(全柔連)の現職理事が、2011年12月に全国大会出場歴のある女子選手にわいせつ行為をしていたことが23日、分かった。柔道のバルセロナ五輪女子52キロ級銀メダリストで、静岡文芸大の溝口紀子准教授が都内であった暴力指導問題のシンポジウムで明らかにした。被害者の女性は理事の辞任を求めているが、対応次第では刑事告発も辞さない構えをみせている。
五輪メダリストの口から、衝撃的な事実が告げられた。「16人目の告発選手が出ました」。溝口氏は、この機会を待っていたかのように「強化選手ではないが、全国大会に出ていたある女子選手が現職の理事から性的暴力を受けました」と語り始めた。
溝口氏から相談を受けた境田正樹弁護士によると、選手は30代で、理事は70代。女子選手から13日に連絡を受けた溝口氏によると、11年12月に都内であった大会の打ち上げ後、地下鉄の駅のエレベーターで理事と2人きりになった状況で抱きつかれ、キスを迫られるような行為があったという。女子選手は直後に交番に駆け込んだが、監視カメラ等の証拠映像がなかったため、被害届は出さなかった。
12年には全柔連の別の理事に相談を持ちかけたが、誠意ある対応にはほど遠く、問題解決への動きはほとんどみられなかった。選手として理事と大会会場で顔を会わす機会も複数回あり、擦れ違いざまに「悪かったな」と声を掛けられたこともあったという。1~2カ月前には口止めのための圧力を受け、今は病院の精神科に通院するほど心を痛めている。
溝口氏は「上村会長もこの案件は知っているはず。執行能力がないわけだから、組織を改めて、違う人が会長になって立て直すべきだ」と切り捨てた。