「陸上・ダイヤモンドリーグ・第７戦」（３０日、バーミンガム）

　日本歴代２位の１０秒０１の記録を持つ桐生祥秀（１７）＝京都・洛南高＝が男子１００メートルに出場し、１０秒５５で予選１組最下位の８着に終わり、決勝進出を逃した。レースは向かい風０・４メートルで行われた。９秒７８の自己ベストを持つネスタ・カーター（ジャマイカ）ら９秒台を持つ４人と同組となった桐生は、スタート直後からスピードに乗り切れず、そのままズルズルと後退。自身初の海外大会は、ほろ苦い結果に終わった。

　いかに“怪物高校生”といえども、世界最高峰の舞台は甘くはなかった。スタート前にはカメラに洛南高のユニホームをアピールするなど、リラックスした様子に見えた桐生。しかし、レースでは“らしさ”を欠いた。スタートの反応タイムこそ４番目だったが、持ち前の加速を欠き、ズルズルと後退。自己ベストに遠く及ばない１０秒５５で１組最下位に終わり、決勝進出を逃した。レース後は悔しそうに手を腰に当て、掲示板を見つめた。

　「しっかりと自分の力不足を知った。緊張というか、何か違うものがありました。自分の力を身にしみて感じた」

　人生初の海外が、この世界最高峰のダイヤモンドリーグだった。「絶対にいい経験になる。海外は初めてなので、どんな感じか見てきたい」と話していたように、９秒台の力を持つ猛者たちに加え、時差や、コンディション調整など１つ１つが大きな経験だった。

　出発の関西国際空港では、立ち寄ったスターバックスの店員からカップに『頑張って下さい』と応援メッセージを書いてもらった。今年４月に１０秒０１を出して以降、日本人初の９秒台への期待を背負い続けてきた１７歳。「モスクワ（世界選手権）までには、これをばん回できるように頑張りたい」。このほろ苦い経験を、さらなる進化への糧としてみせる。