ルール変更は沙羅にどう影響する?
約7カ月後に迫ったソチ五輪。グルジアにほど近い、ロシアの国境沿いで行われる22回目の冬季五輪で新たに採用されるのが、ノルディックスキーの女子ジャンプだ。その初代五輪女王の座が期待されるのが、昨季W杯個人戦でジャンプでは男女を通じて日本人初の年間総合王者に輝いた高梨沙羅(16)=クラレ=だ。身長152センチと小柄な高梨が、なぜ遠くへ飛べるのか‐。強さの秘密と、新ルールが導入される五輪シーズンに向けた“今”に迫った。
国際スキー連盟(FIS)がソチ五輪シーズンから改訂するルールは、日本ジャンプ陣にどのような影響を及ぼすのか。
FISは6月10日の理事会で「助走路のスタート位置をコーチの判断で下げた場合は、ヒルサイズ(HS)の95%以上の飛距離を出さなければ加点しない」と改正した。これまではゲートを下げることで加点が見込まれたが、戦略的なゲート変更を防ぐというFISの狙いがある。
8勝を挙げて年間総合優勝した昨季の高梨のW杯での戦いを振り返ると、全16戦中で6戦(うち4勝)に当てはまる。だが、小川コーチは「そんなにマイナス要素はないと思う」と語る。
「HSを超えてもテレマークが入れられるようなら問題ない。女子でも、サラ・ヘンドリクソン(米国)はできる。戦っていくためには、必要な技術ですから」。高梨自身も「スーツの変更と違って、飛ぶ感触自体には何も変更がない。テレマークが入れられるレベルに合わせていければ大丈夫」と話す。昨季から課題として取り組んでいるだけに、大きな“逆風”とはなりにくそうだ。