白鵬、待ったと勘違い…ヒヤリ41連勝
「大相撲名古屋場所11日目」(17日、愛知県体育館)
横綱白鵬は大関鶴竜を小手投げで下し、全勝を守った。立ち合いで呼吸が合わず“待った”と勘違いし、一気に土俵際まで押し込まれたが逆転。1敗だった大関琴欧洲と平幕の魁聖が敗れたため、後続に2差をつけ26度目の優勝へ独走態勢を固めた。休場危機に立たされた横綱日馬富士は、琴欧洲にとったりを決めて7勝目。連敗を3で止めた。
肝を冷やした。白鵬は呼吸が合わないまま早く立った。一瞬力を抜いたところに、立ち遅れた鶴竜が低い体勢のまま押し込んできた。「待った、だと思ったけどね。『残った残った』と聞こえてきて、ダメもとで小手を振った。良かったですよ」と、土俵際での逆転を振り返った。
この日は今場所初めて朝稽古を休んだ。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は「昨晩戻ってきた時、おなかが痛いというようなことを言っていた。疲れがたまっているようだ」と話した。三段目の取組では内弟子の石浦が、序ノ口デビューから20戦目で初黒星。白鵬は「もったいないね」と残念がった。
体調が万全ではなく、内弟子の初黒星という不吉な兆しもあったが関係なかった。「今場所は土俵際で粘って踏ん張った相撲が多い気がする」。盤石ではない内容でも白星を手にする老かいさが、今の白鵬にはある。
連勝を41に伸ばし、26度目の優勝に向けて後続に2差をつけた。北の湖理事長(元横綱)は「独走だね。よっぽどでないと星を落とす気がしない」と全勝優勝を予想した。
稀勢の里の綱とりが消滅し、賜杯争いも先行きが見えた。残る興味は今場所で45連勝に伸ばせるか、というところ。白鵬は独走態勢にも「初めてではないし、引っ張っていくだけ」と、平然と言い切った。